雑誌に連載していたものだそうですが、きっぱりと潔い
文章がとにかく心地よい一冊でした。
伯爵家のお嬢様として生まれ、14歳にしてアメリカ留学を
果たすという凄くて素敵なお方です。
これまでに酒井美意子さん(加賀百万石の姫)、
澤田美喜さん(三菱財閥のご令嬢)、
佐藤雅子さん(元・人事院総裁佐藤達夫氏夫人)、
そして宇野千代などをはじめとした何人かの
明治女(酒井さんは大正生まれ)の人生を読んだり
見たりしてきましたが、彼女ら全てに通じるのは
「ノーブレス・オブリージュ」という感覚。
いずれもお嬢様ながら、お転婆で活発な方が多い。
結構暴れているけれども、いざとなると国のため
家族のため、友のため、尽くす覚悟ができている方たちで
とても男前。
強い芯の通った明治の女性たちのお話は私は大好きです。
この正子さんも他の方と同様、威勢の良いことを
書いていらしてはいますが、そこにはやはり
持って生まれた繊細さも見え隠れしていて、
これ見よがしでない奥ゆかしさを感じます。
話題が苦しかった時代などネガティブな方向に行きかけると
そんなことを書いたところで何もならない、として
それ以上のことは書かないなんてところも本当に
私好みの素敵な方だと思います。
生まれも育ちも違うから・・・と最初から嫌悪感を
示す方もあるとは思いますが、私自身はこの方の
こういった美意識と行動力には強く惹かれます。
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