「オルフェウスの窓 外伝」  宮本えりか | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

ついつい読んでしまった・・・。

名作「ベルサイユのばら」の次の長編が
「オルフェウスの窓」でした。
池田作品の長編の中では、オリジナリティも
完成度もかなり高いものだと思います。
やたらに人が亡くなるので、特に主人公の
ユリウスが手を汚してからは、絶望感で
いっぱいで読むのが辛かったけど。

そんなオルフェウスの外伝はこれともう1冊あったと
思いますが、原作・脚本は池田理代子さんなれど
作画は宮本えりかさんという方です。
多分アシスタントさんだった方なのでしょう。
やはり池田理代子・脚本の「ニーベルングの指輪」を
発表されています。
また、昨日私が読んだ「エロイカ」やそのほかの
作品でも主役級の次に重要なレベルの人物を
担当していらっしゃるようで、エロイカでは
あのベルナール・シャトレすら、この方が
描いていたのには、ちょっとびっくりしました。

絵は、池田理代子さんにとてもよく似ています。
似ているけど、やはり似て非なるもの・・・
違和感がかなりありますねえ。

で、この作品では「オルフェウスの窓」本編で
行方不明になっていたアントンのその後が
メインに描かれています。
使用人という立場で、お屋敷のお嬢様だった
イングリットと恋をしたものの、結局彼女は
貴族に嫁いでしまった。
傷心のまま、彼女の産んだ子供・キースを連れて
行方をくらましてしまっていたあの人ですよ!
名前を変えて、親子として生きていたのです。

短い作品なので、本編のファンとしてはもっと
描いて欲しい人物はたくさん居て、物足りなさは
かなり残ります。
この誘拐事件で人生を変えられてしまった被害者と
言える人たちはたくさんいるわけですが、
そのあたり、あまり深く掘り下げられておらず残念。
ただ最後、事実を知ったキースが父をかばうシーンには
やはり涙です。

あまりにもイメージが定着してしまったものに
何らかの変化が起こるとき・・・ドラえもんメンバーの
声がかわる、チャンドラーの未完成品をパーカーが書く、
漫画作品を実写化する、などなど・・・拒否反応は
当然のつきもので、そんな中で作品を発表した
勇気はなかなかだと思います。

でもね~、やっぱり池田先生ご自身による入魂の
一作を読みたいと思うのも、わがままではないですよね。
この頃は音大に通われていたのかもしれません。

それにしても、「オルフェウスの窓」本編も
「死」で満ち溢れていましたが、この外伝も
やはりたくさんの人や動物(なぜかは読んでね)が
死んでいきます。
読む側にも結構厳しい作品ですね。
でも本編の読み応えは・・・・う~ん、気力・
体力充実させてそのうち読もう!

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