光の魔術師と言われるレンブラントの作品です。

「アブラハムとイサク」 レンブラント・ハルメンス・ファン・レイン 作
エルミタージュ美術館蔵
アブラハムは最初アブラムとよばれていましたが、ある日神はアブラハムに
「あなたは、あなたが生まれた故郷、あなたの父の家を出て、私の示す地へ行け。」
と命じます。
これはアブラハム契約と呼ばれ、神がアブラムと約束(契約)したということに
なるのだそうです。約束は下記の通り3つありました。
1)人の祝福、アブラハムの子孫は海辺の砂のように与える
2)土地の祝福、カナンの土地、今のパレスチナを与える
3)恵みの祝福と救いを与える
この時、アブラムは75歳したが、どんな時も神を信じ、従っている
大変信心深い人だったようです。
中東ではアブラハム名乗る人が多いそうですが、第16代米国大統領の
アブラハム・リンカーンが最も有名な一人かもしれません。
アブラハムが80歳を過ぎても、神が約束してくれた子は生まれないので、
アブラハム夫婦は侍女ハガルにアブラハムとの子を生ませることにします。
子の時生まれたのがイシマエルですが、神の約束の子ではなかった。
アブラハムが99歳、サラが89歳になったとき神は契約を確認し、ふたりに
子供が生まれることを約束し、アブラハム100歳、サラ90歳でようやく
子イサクが誕生しました。イシマエルは神の約束の子ではなかったため
追放されます・・・やれやれ。
次に神はアブラハムに、イサクを神の儀式のいけにえとするよう命じます。
この理不尽な命令にもアブラハムは従おうとします。
この信頼と服従がまれに見るものであるために、アブラハムが「信仰の父」と
呼ばれる所以なのだとか。
聖書の信仰の第一歩は、神を信じ、神に従順であり服従することなのですね。
なおアブラハムはキリスト教だけでなく、ユダヤ教、イスラム教においても、
信仰の父とされているのは、旧約聖書でのアブラハムの評価がいかに高いかを
表すものと考えられているようです。
また、このイシマエルとイサクという義兄弟の争いは、アブラハム以来
2000年を経てもなお、現在につづく問題になっているということです。
なんとも理不尽な要求をする神にはびっくりですねえ・・・・。
結局、神はアブラハムがイサクに手をかけようとしたときに
止めに入るのですが(上記のレンブラントの画題)、
こんな風に試されるなんて嫌ですよね。
でも神は結局、息子殺しはさせなかった・・・自分の民には
決して犠牲を強いたことはなかったと考えることが必要らしいです。
(唯一犠牲となったのは神がつかわしたイエスキリストのみ)
アブラハムの章は長く、本来は「ソドムとゴモラ」も含むのですが
これは私にとってはちょっと特別なこともあり、別扱いとして
後日まとめてみます。
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