「肉体の悪魔」 レイモン・ラディゲ | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

ライブ以来、すっかり滞っていましたが、ようやく1冊終了しました。
これで少し調子をつけたいところなのですが・・・・。

舞台は第一次大戦期のフランスです。
主人公である15歳の少年が、年上の人妻マルトと恋に落ちる。
でもマルトだってわずか19歳に過ぎないのですが。
マルトの夫ジャックは戦争に行っていて、ふたりはその間に
抜き差しならぬ関係になってしまい、やがてそれは周りの知ることとなる。

今回に限らず、今になってから古典的名作を読むたびに思うのですが、
やはりこの手のものを読むのはできるだけ早いうちがいいなあということです。
この年齢なりに感じるものはもちろんあります。
でもそれは若い感受性がどうとかいうことではないのですね。
まあそれももちろんないとは言えないけど、それよりも古典の影響を受けた、
その後の他の作家の作品群を読む前に原典ともいえるべきものを
読んでおきたかったな~と思うのです。

例えば「異邦人」とか「キャッチャー イン ザ ライ」などを読んだ時に
もうこの手のお話は書きつくされてしまったなあ、という感じがあったのは
確かで・・でもそれはすごくもったいないことだと思うのですね。

この「肉体の悪魔」という作品もやはり、どこかで読んだような感は
正直否めません。
それは私自身が、今になって過去の作品に回帰しているからにすぎず
この作品の責任ではもちろんありませんが、とても残念に思います。

お話の内容については、15歳の少年の純粋さと残酷な身勝手さが
きれいに描かれています。そしてまたマルトのしたたかさも。

生まれてきた子供には少年の名が名づけられます。
夫は知らずにかわいがる。
少年にも、夫にも子供の父親はあなただと伝えてきた彼女。
事実は一体どこにあったのでしょうね。

萩尾作品「11月のギムナジウム」の、ベースになっているかも。
これを萩尾先生が漫画にしたら、きっとこの少年とマルトが思わず本音を
告白せざるを得なくなるように追い詰める狂言回しのような、でも本人としては
邪気のない、まっすぐな第3者が登場することになるんだろうな、なんて思いました。

ラディゲ16~18歳のころの作品です。恐るべき早熟さと天才性・・・。
年齢とか修業とか無関係に、凡人には不可能と思えることを
いとも簡単に成し遂げてしまう天才って、やはりいるのですね。
おなじ年頃でサガンもデビューして絶賛されました。
彼女もいいと思うけど、ラディゲはケタが違うと思います。


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装丁が変わってしまいましたが、私のは古くて池田満寿夫さんの素敵な装丁でした。

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ようやく第3巻ゲット。まだまだ続きそう。楽しみです。

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本日のBGMは福山様のベストアルバム。でも4枚組のベストって福山様、どうなの~??
改めて甲斐バンド全盛期のアルバムおよびベスト盤に収録された曲の完成度の高さを
実感したのでした。(申し訳ありません)

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