I've read・・・3 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

もう少し読みました。漫画の方が多いけど。

あぶない丘の家 (小学館文庫)/萩尾 望都

¥840
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お話は4編ですが、文庫ながら厚さ3cm近い長編です。
SF、歴史、ファンタジー、ホラーが入り混じったまさにブラッドベリのような作品集。
隠れた名作ではないかと思います。

特に後半の「あぶない壇ノ浦」「あぶない未来少年」は壮大なお話。
「壇ノ浦」ではタイムトラベルができるようになってしまった主人公「マヒコ」が
鎌倉時代に迷い込み、頼朝、義経に出会い兄弟の葛藤に関わることになります。

ふたりのうちどちらかをメインにした歴史物は多数あるかと思いますが、
それぞれの個性をきっちりと捉え、どちらをも客観的に見ながら、その個性ゆえに生まれた
兄弟の確執を見事に描いています。
こういう力のある作者ってどれだけいるんだろう?とよく思うけど、この作品もやはり
歴史そのもの、二人の個性、本当によく研究され、消化されたんだと思います。
萩尾ファンでなくとも、この力量は認めないわけにはいかないのではないかな。
ラスト、死にゆく頼朝の脳裏をマヒコがのぞき見ているのですが、頼朝の寂しさ、切なさは
勇者の孤独そのもので、そのことがよく現れていると思いました。

「あぶない未来少年」は200年後の未来から、1994年にやってきた少年のお話。
200年後の地球に生存している人間はその少年「ジーン」だけになってしまっていた。
周りがすべてロボットだったということに気がついた彼が、自転車型のタイムマシンに乗って、
人間がひとりだけになってしまったそもそもの原因である彗星の衝突を阻止しようと
考えてのことでした。
ちょっとこのお話がいくつか最近の日本や世界情勢に重なるものがあり、
私には内容をこれ以上書くのはためらわれますのでこれくらいにしておきます。

結局、ジーンはその嘘だらけのような未来の世界が、自分のためにプログラムされたもので
あることを知り「僕はあの世界に愛を感じる」と言って、戻ることを決意します。
ここでもやはりこのところ私が感じている「人は誰かのために、生きる力、気力がわいて
くるものだ」ということを改めて思います。

1匹の猫と、いとこにあたる初恋の女の子ミイ、そしていくつかの植物を持って、
ジーンは200年後に戻っていきます。
いいことばかりではないだろうけど、萩尾作品の特徴である未来を感じさせる終わり方で
まるで映画を見た後のよう。続編をぜひ期待したいところです。



十四の嘘と真実 (新潮文庫)/ジェフリー アーチャー

¥700
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久しぶりに読みました。
やはり訳者の永井淳さんの翻訳はお見事としか言いようがありません。
原書で読む力がないのは残念ですが、これはもう永井先生による別のアーチャーの世界と
言えるんじゃないかと思います。
なじみすぎたアニメの声優が突然交代になった時、ものすごく違和感がありますが
もし何かのきっかけで、別の方がアーチャーの翻訳をすることになったら、訳者ご本人の
プレッシャーも相当なものでしょうし、読者も迷うところだろうと思います。

長編も大変面白いけど、アーチャーの短編は独特でこれもまた本当に面白いです。
ただイギリス国家、国民、政治、文化・・などなどに通じていないとちょっとついていけない
ところが時にあるのは残念かな。

今回もまた鋭い知能犯による詐欺的な短編がなかなかよかった。
この世界を描くアーチャー氏は、本当に上手いと思います。
そして最後の「となりの芝生」。
自分より少しだけ上の地位にいる人、あの位置に行くことができたらな~と、
銀行前に陣取るホームレスが思うところから始まり、次々にその主人公のクラスが
上がっていく趣向。だから結末は途中で誰もがわかってしまうんだけど、それでも
幸せってのは結局自分が満足できるかどうの問題で、他人が決めるものではないという
思いを改めて持ちました。

短編集は現在4冊出ていると思います。いずれもアーチャー入門にはお勧めかと。


小林よしりんの下記3冊も読みました。
それぞれに思うところがありますが、今これらの本について書くことは別問題のようでいて
日本が現在直面していることに結び付いてしまうので、やめておきます。
とにかく評価はすべて最後に回して、今はすべてが滞りなくうまくいくことを祈るのみということで。


新・ゴーマニズム宣言 第11巻/小林 よしのり

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新ゴーマニズム宣言スペシャル脱正義論/小林 よしのり

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ゴーマニズム宣言〈9〉/小林 よしのり

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