スペイン 18 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

1989年1月1日 レオンに


絵葉書


Maria maniatica


!Feliz ano nuevo!(あけましておめでとう!)

朝、8時34分の電車で15時過ぎにここレオンに着きました。

ガリシア地方とカスティージャ・レオン地方の風景の違いを

目の当たりにした長旅でした。



本当にスペインというのはいくつもの顔を持っているのです。

サンチャゴの朝8時はまだ星が出ていて、真っ暗でした。


大晦日もいろいろとスペインらしい場面に出会いましたが

紙面の都合上すべて書けませんので、それはまた

サラマンカに戻ってからいつものように詳細に書きます。



さて、スペイン3大カテドラルと言われるものの一つ、

ここレオンのカテドラルですが、とのかくものすごい。

ステンドグラスがすばらしかった。

どこを見ても、何を見ても驚き、感動します。

スペインはすごい国です。


ただ、私には存在感という点ではサンチャゴの方が強烈でした。

もっともっとカトリックの勉強をしようと思います。
そして残るトレド・ブルゴスのカテドラルをみます。

明日は久しぶりのマドリです。


Maria maniatica

(カテドラル内部の絵葉書)



昨日エル パイスを買ったら、1988年の10大ニュース

みたいなものが出ていました。いずこも同じです。

東京はどんなお正月ですか?



(1月9日付の手紙)


1月1日   日曜日 新聞は全て休み。

朝8時の電車でレオンへ。

まだまだ夜中のように真っ暗な空。
刺すように痛い早朝の冷たい空気の中を駅へ向かいました。


昨夜のなごりのお酒のびんや、クラッカーなどが

そこここに散らかっています。
まさに祭りの後・・という感じ。
電車が動いているかどうかが最大の不安でしたが、

大丈夫でした。バルも開いていました。


この電車の中で初日の出を見ることになりました。

しかし日が出るまでの長いこと。
途中から霧が出て来ました。外はとても寒いようです。


木も草も凍っており、一面乳白色です。
太陽が薄く金色にみえます。まるで東山魁夷の世界でした。


走り続ける電車の外は風景がどんどん変り、またいつのまにか
カスティージャ地方の乾いた土地へ戻っていました。

レオンは商工業の中心地で、そのとおりとてもあか抜けた

近代的な街です。
街の入口に橋があり4頭のライオンの彫刻がありました。


オスタル探しはやはり1月1日ではとても大変で

何軒も廻ってようやく見つけました。
あまり感じのいいセニョーラではありませんでしたが、安かった。


荷物を置いて旧市街へ。
塁壁やいくつかの教会を見て、スペイン三大カテドラル

(ほかはトレドとブルゴス)の一つと言われるレオン大聖堂へ。


Maria maniatica  Maria maniatica


(ゴシック様式の印象的なカテドラル。写真がね~・・・)


外の彫刻もさることながら、中のステンドグラスの美しさと言ったら、
まさに信じられない美しさでした。
荘厳さ、重厚さはサンチャゴのほうが上かもしれませんが、

ここはここで魅力的。


Maria maniatica


(これは絵葉書。13世紀の作だそう。

名もない職人が作ったものですが、

後世に残る仕事に携われたことは

本人とご家族の誇りでしょうね~。)


サンイシドロの天井のフレスコ画もすばらしいというので

行ってみたけどなぜか見当たらない。

あとで聞いたら別のところに博物館があったそうで残念。

ガウディの、今は銀行になっているカサ デ ロス 

ボディーネスも見ました。
私はガウディの作品は面白いと思うけれど、

さほど好きとは今のところ思えません。


Maria maniatica

(今でも使われているところがすごいですよね。

しかも銀行だって。祝日で休みだったのが

残念。中も見たかった。)


翌朝もう一度カテドラルへ。

誰もいないのをいいことに写真を写してしまいました。
神サマ、許して!


Maria maniatica


(神の罰があたったひどい写真。

でもこれも思い出だしね??

絵葉書はきれいだけどつまらんでしょ?)


3時半の電車でマドリッドへ。

本当はレオンにはまだほかにもパラドールになっている
建物があってなかなかよさそうだったのですが、

何しろカテドラルに入り浸っていたため

見ることができませんでした。

でも私はとてもCONTENTA(満足)です。


電車の中で隣り合ったスペイン人のお兄さん。

最初はつんつんしていたものの、私が手にしていた

エル エスコリアルのパンフレットを知っていたらしく、
エスコリアルが近づくとカーテンを開けて教えてくれました。
そこからいろいろ話が始まりました。


私の今日までの旅と、前に行ったいくつかの旅の話をし、

プラドではまだゲルニカしか見ていない・・・というと、

「僕は嫌いだ」と。私も何も考えずに馬鹿みたいに、

理由を聞いてしまいました。



Maria maniatica


(バスク語でGERNIKA, スペイン語でGUERNICAと表示します。)


「スペイン人なら誰でも思うことだ。僕はあんな作品より

青の時代のほうがずっと好きだ」とのお答えでした。

そうでした、ゲルニカはスペインの悲しい歴史なのです。

考えなしの私、恥ずかしい。


でも「私も青の時代がすき」というと、そこからいろいろな

建物やスペインの芸術や歴史を語り始めました。
窓から見える建物のひとつひとつが何なのか、

またどんな目的で建てられたのかも教えてくれました。

フェリーぺ2世は偉大な芸術家だったなんてことまで言っていて、
こういう普通の人(ではなかったのかもしれないけど)が

こうやって自分の国を外国人に語れるって素晴らしいなと

思いました。



こんな風に書いているといかにも私が話せそうですが、

何度も聞き返してようやくわかった程度です。

私のスペイン語は出発前とほとんど変わっていません。
すみません。


さて、この電車、実は1等をはさんでマドリッド行きと

バルセロナ行きに別れていたのですが、それを知らずに

バルセロナ行きに乗っていたのです。


まわりのスペイン人がこれまでのこのお兄さんとのやり取りを

聞いていたらしく「これはバルセロナ行きだからマドリッド行きの

車両に乗り換えろ」みたいなことを教えてくれました。


途中の駅で停車したとき、今なら間に合うから、と言い

一緒に出口までついてきてくれました。

やさしいスペインの皆さん、ありがとうございました。

今回のことで、改めてどの人もみな自分の国、

生まれ育った土地を愛し、芸術や歴史をよく理解して

いるなということを想いました。


たまたま私のあった何人かがそうだとももう言えないくらいの

人がそうでした。

「スペインで一番すばらしいのはどこ?」と今までスペインで

会った誰に聞いても必ず自分の故郷を言うのです。


ルディやカイもそうでした。ドイツのある地域のことが

話題になったり質問すると、全然離れているところでも

自分の家のある地方も略図に書いて「ここが僕の街。
ドイツで一番素晴らしいところだ」と言っていたのを

思い出します。
皆さんはどうですか? 私は「東京」って言えるかな。


さて、今日はもう遅いし便せんもこれで終わりです。
明日はDOMINGO(日曜)なので買えません。

続きはまた。


・・・・深夜のように真っ暗なサンチャゴの朝の

空気の冷たさははっきりと覚えてますね。

あのにぎやかな大晦日があけたあとの広場や

道路はごみだらけだった。


凍った窓越しに外の色が金色に見えたあの情景も

エスコリアルについて語ってくれたお兄さんのことも

よ~く覚えてる。

進行方向に向かって右側の席で、窓越しの陽が

まぶしかったな~。

あまりにも覚えていて、ちょっと切なくなるくらい。


89年の新年か・・・21年ね、何度も実感してるけど

長くて短いものですね。


ゲルニカについて・・・すっかり忘れていたけど

10月に着いた当初、これは真っ先に見てました。

飛行機に乗る前のようなチェックがあり、警備は

相当厳重で緊張感あふれていました。

スペインの美術館ってものすごくオープンなのに

これだけは扱いがぜんぜん違いました。


作品についてはご存知の方も多いと思いますが

スペイン内乱中の1937年4月26日、フランコ側を

支援するナチス・ドイツ軍がバスク地方の自治と

統一を象徴する町ゲルニカを爆撃したことが

発端。


ピカソはこの事件に強く反応し、5月1日に構想を

練り、6月4日に349.3㎝×76.6㎝の大作「ゲルニカ」を

完成しました。わずか、1ヶ月で仕上げた作品です。


この愛する祖国の惨禍を闘牛に象徴し、

黒・白・灰という色調で描き 「ゲルニカ」に人道的な

メッセージを与え、不条理と悲劇を訴えました。


闘牛については牡牛をファシズム、馬を抑圧された

人民とするアングロサク ソン系の解釈と

前者を人民戦線、後者をフランコ主義ととる

スペイン系の解釈があるそうです。


キュービズムは難しく見えるけど、抽象的な

歌詞と同じで、作者の訴えるたいことが最小限の

モチーフに凝縮されていて、イメージが広がる。

感じるものや解釈は人様々でいいと思います。

作品解説など気にすることはないと思ってます。

もちろん作品によって意味不明のままのものも

多いけど。私は結構好きですね。


もう一度みたいか??うーん、どうかな~。