お昼少し前に小型バスに乗り込みビーチリゾートを後にしました。
これから金子さんの宿泊しているホテルに向かいます。
バスが動き出すと小雨から一転雨脚が強くなりました。
「良かったね。バスに乗る前に大雨に降られなくて」
雨季にも関わらず旅行中はずっと天候に恵まれ傘の出番があったのはこの日だけでした。
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都心部に近づくと道路が渋滞し始めました。
雨は上がりましたが厚い雲が空を覆っています。
終点で降りて電車を乗り継ぎ金子さんの宿泊するホテルに到着したのは15時近くでした。
私達もチェックインを済ませるとホテルからタクシーに乗り海鮮料理店に行きました。
タクシーに乗っている間に再び激しい雨に遭遇しましたが下車する頃には止んでいました。
開店時間まで少しあったので、明さんと金子さんはお店の前で奥様に送る為のアリバイ写真を撮っていました。
海鮮料理を食べながらお互いに旅の報告をしました。
金子さんの話をもっと聞きたかったのですが、諸事情により後日明さんから聞くことにしました。
皆お腹も一杯になってきたころ、屋根を激しく叩く猛烈な雨が降り出しました。
息苦しくなるような圧迫感があり恐怖を感じるほどの豪雨でした。
隣に居る明さんの声も上手く聞き取れません。
食事が一通り終わりその後店内で30分ほど待ちましたが一向に雨脚が弱まる気配はありません。
「どうする?ここでまだ待つ?」
明さんはもう少し様子を見たいようです。
暫く経つと少しだけ小降りになってきました。
周りのお客さんでお店を出ようと準備を始める人達が見られました。
明さん「少し雨が小降りになったね」
私「そろそろ行く?」
明さん「どうしよう。俺はびしょ濡れを覚悟して行くよ。ここから駅まではそれほど遠くないし、〇〇(屋根付きの歩道橋)まで少し走れば着くから」
私「私は傘を持っているから大丈夫」
明さん「俺は持っていない」
私「えっ?傘を持っていないの?!」
金子さん「俺も」
驚くことに明さんも金子さんも折り畳み傘をホテルに置いてきたのでした。
明さん「携帯は皆防水機能が付いている物だから雨に濡れても大丈夫。今がチャンスかもしれない。それじゃあ行こうか?」
雨脚はかなり弱まって傘も要らないくらいの小降りになってきました。
私達は踝から下を水没させながら小走りで駅の方向に向かいました。
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駅に繋がっている歩道橋から下を見ると街の道路が一部冠水していました。
そこを一台のトラックが走っていました。
「あれは冠水した道路を走らせないようにする巡回車だよ」
明さんが教えてくれました。
私達はホテルに戻りそれぞれの部屋に入りました。