次の場所に移動する前に、この街で早めのランチをしようということになり、私と明さんは大通り沿いにある飲食店をチェックしながら歩きました。

けれども中々お店は見つからず、高速の高架下を渡って真っ直ぐに進み、大通りから少し入った住宅街の中を歩いていると、道の途中にお店のメニューが書いてある小さい看板を見つけました。

私と明さんはそのお店に行くことを決めて路地裏を迷いながら歩き、ようやくそのお店に辿り着きました。

 

 


お店の外にはサラリーマン風の男性が数人並んでいました。

私と明さんは入口に一番近い席に座り、明さんが渡航前に食べたいと話していた好物の天丼を二人分注文して一緒に食べました。

「美味しいね」  

「うん、良かったらこの海老食べて」

「どうしたの?体調悪いの?大丈夫?」

「うん、あまりお腹が空いていないから」

私がゆっくり食べていると、明さんが出し抜けに言いました。

「さっきのお坊さんかと思った」

「えっ?」

明さんが少し笑いながら厨房の方に目をやったので私もそちらを見てみると、従業員の方全員がスキンヘッドでした。

少し早めのランチを終えてまた電車に乗ると、今度は明さんの生まれ育った街に移動しました。
 

 

 


明さんは終始、

「昔とすっかり変わってしまった」

と言いながら、商店街の中をゆっくりと歩いて行きました。

私も横に並んで一緒に歩きました。

私は勿論どのように変わってしまったのかは分かりませんが、明さんの軌跡を一緒に辿っているこのひとときに幸せを感じていました。

商店街を抜けるとまたそこから暫く歩いて、まだ固い蕾の桜並木を通り過ぎ、緩くカーブした坂道を登りきった先に、おしゃれで洗練させた街が現れました。

私と明さんは暫くその街を散策した後、徒歩でまた来た道を戻り、電車に乗って常宿に移動しました。

常宿の近くのコンビニで飲み物とおやつとお握りを買って部屋に戻りました。

携帯電話の万歩計を見ると1万7千歩程歩いていました。

 

 

 

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