明さんが車に乗って待ち合わせ場所(いつもの場所)で待っていました。
現在の時刻は20時半。
奥様に「夜のドライブに出掛けてくる」と嘘を付いて自宅から抜け出してきたのでした。
私は〝黒色のビニール袋数枚〟と〝マスキングテープ1本〟と〝バスタオル3枚〟が入った紙袋を持参していました。
「こんばんは、場所は何処が良いですかね?」
「ちょっと走ってみよう。〇〇の辺りが暗くて場所的に良いかなと思うんだけど」
明さんから最初にこの話を聞いた時、私は驚いて「無理です」と断ったのですが、明さんの強い要望に根負けして仕方なく受け入れることにしたのです。
私は車の中での経験は一度もありません。
明さんは若い頃に何度も経験しているようで、久し振りに私とやってみたいと懇願されたのです。
それで私なりに考えた挙句の必需品が紙袋の中に入っている品々です。
「外から見られることさえ防げればまあ良いか?」と割り切って付き合うことにしたのです。
車に乗り心当たりのある場所に移動してみたものの「ここは違う」「ここも駄目」となって、結局辿り着いた場所は最初に待ち合わせをした場所の近くの駐車場でした。
この駐車場には灯りが一つも無くて本当に真っ暗な場所です。
「やっぱりここが一番安心して出来ると思ったよ」
「えっ、でも割と近くに住宅があるけれど大丈夫なの?それから外から見えないか心配で色々と持ってきたのだけど」
「色々と持ってきたね、大丈夫だよ、外から中が見えるか見てごらん?」
明さんが運転席から外へ出ると、私も助手席のドアを開けて外に出てみました。
「どう?外から中が見える?」
「ううん、見えない」
私と明さんは車の中に戻りまたお喋りを続けていましたが、帰りが遅くなって奥様に怪しまれては困るので、早めにコトを始めることにしました。