外観もロビーも小綺麗なホテルでした。

フロントでチェックインを済ませてからカードキーを受け取るとそのままエレベーターに乗り込みました。

明さんは旅先から帰ってきたばかりの状態なので、髭は伸びたまま服装もヨレヨレとしています。
 

 

 

 

 

 


部屋に入ると、

「俺先にお風呂に入るから」

と言って浴槽にお湯を溜め始めました。

私は何気にテレビを付けました。

するとエリザベス女王の国葬の模様が画面に映し出されました。  

その映像を観ながら、お互いにイギリスに行った時のことを話したりもしました。

明さんが浴室から出た後、私は入れ替わるように浴室に入りました。
 

 

 

 

 

 



そして私が浴室から出ると、私も明さんも何故か改まった感じになり暫く黙っていました。

前回はラブホテルという少し異空間な雰囲気の下であったこと、また二人の間に何か勢いのようなものがあったと思うのですが、今回はごく一般的なホテルの一室で〝これから真剣なお付き合いが始まる〟〝本格的な不倫関係に発展していく〟〝もう後戻りは出来ない〟といったような覚悟?をお互いに何となく感じ始めて、少し気まずくなり距離を置いたのだと思います。

明さんはそれでもこの重苦しい空気を払拭しようと話題を持ち出しては話をしていますが、私はぼんやりとテレビを眺めていました。

すると明さんから、

「テレビを観ているのか観ていないのか分からないけれど消したら?」

と言われて私はテレビを消しました。

「どうするの?このまま続ける?やめる?どうする?」

「やる、やるけど何か、本当にこのまま続けて良いのか不安になってきた」

「毒を食らわば皿まで」

「凄い諺知ってますね」

「ねぇ、やろう」  

「うん」
 

 

 

 

 



そして私も明さんも前回の消化不良を取り戻すようにベッドの上で激しく身体を求め合いました。

私は声を抑えきれず、私と明さんの舌や唇も複雑に絡み合い、二人の心と身体がようやく一つになったのでした。

 

 

 

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