今日は棲息掩蔽部から緩やかに上がって二十四糎加農砲座に向かいます。

 

 

4つの砲座、2つの砲側庫、両翼に観測所が一直線に配置されています。中間点辺りに上がりましたが、まずは左側を見てみます。なかなか綺麗な塁道ですね。

 

次に右側を見ると、、、なんじゃこりゃ(゚Д゚;)

 

右翼側は後回しにするとしてまずは左翼側に進みます。

小首堡塁に配備された重砲は、日清戦争の際に威海衛要塞で鹵獲した克式中心軸三十五口径二十四糎加農でした。1門1砲座で4門が据え付けられましたが、4つある砲座はなかなかのヤブっぷりです(・_・;)

 

こちらは第3砲座です。後方から見ていますが、砲座は塁道からやや高い位置に設けられています。これはスロープなのかな?

 

胸墻はレンガ積みで、さらにその上には石が積まれています。

 

ちなみに近隣の丸出山堡塁も同じ火砲が配備されましたが、向こうの砲座の胸墻はレンガではなく石積みです。なぜ違うのでしょうね?

 

弾室です。

 

伝声管です。左右に設けられていますので両隣の砲座と繋がっているのでしょう。

 

床面はコンクリートのようです。

 

第3砲座後方に貯水所があります。

 

かろうじて濾過槽が見えますね。

 

第3砲座と第4砲座の間にある半地下式の第2号砲側庫です。

 

砲側庫の入口上部に第2号の文字。

 

内部です。

 

第4砲座は行く気になりませんでした(^^;

 

第4砲座左横に左翼観測所の付属室があります。

 

掩蔽部や砲側庫は窓2つでしたが付属室は窓1つです。

 

内部です。

 

観測所に繋がる伝声管です。

 

では付属室の上にある観測所に向かいます。

 

観測所です。円形コンクリートで中央に測遠機台が置かれています。

 

他地域にはない特徴的な形をした測遠機台です。大きさは底辺約1.65m,等辺約1.05m、高さ約77㎝です。

 

コンクリートもしくは煉瓦積モルタル塗りの三角形台座となっていますが、よく見ると3つの頂点に凸部(1つは削れていますが)が見られます。

他地域の観測所では3本の柱が三角形状に置かれているのをよく見かけますが、コレもそれと同じ用途、つまり応式測遠機の据付台座だと思われます。

 

参考までに他地域の3本の柱を備えた観測所。

 

右側の丸い穴は付属室と繋がる伝声管でしょうね。

 

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それではヤブに突入して右翼側に行ってみます。

 

第2砲座の胸墻です。

 

第1砲座と第2砲座の間にある第1号砲側庫です。3年前はもう少し楽にここまで来れたんだけどなぁ(^^;

 

内部は第1号と同じですので写真は割愛します。

 

第1砲座には入れません(;'∀')

 

レンガ壁を伝って第1砲座右側にある右翼観測所に向かいます。

 

右翼観測所の付属室に到達しました。

 

附属室の前面。左翼とは窓の位置が逆ですね。

 

内部から外側を見る。

 

付属室前方は階段だったと思いますが、、、。

 

さらに大変な思いをして付属室上方の観測所入口まで来ました。

 

右翼観測所に到達。左翼と同様に応式測遠機台がありますが、こちらには伝声管の穴が開いていません。付属室には穴があったんですけどね。

 

これにて引き返しましたが、帰宅後に史料を確認すると、日露戦争の戦備作業にて設けられた砲台長位置が観測所の右側にあったようです。どうやら側防の十五糎加農砲座にある砲台長位置と同型のようですが、ここまで苦労してきたのに見逃したとは…。残念です(-_-;)

 

以上、二十四糎加農砲座周辺でした。

その3では十五糎加農砲座を見に行きます。

 

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[参考文献]

「現代本邦築城史」第二部 第七巻 佐世保要塞築城史(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)

「日本築城史-近代の沿岸築城と要塞」(浄法寺朝美著、原書房)

「明治期国土防衛史」(原剛著、錦正社)

「工兵第3方面 小首堡塁建築の件」(Ref No.C03023096900、アジア歴史資料センター)

「佐世保要塞面高堡塁改築等竣功図書進達の件」(Ref No.C02030496600、アジア歴史資料センター)

「佐世保軍港防禦小首堡塁弾廠増築の件」(Ref No.C02030411400、アジア歴史資料センター)

「小首堡塁砲具庫増築等の件」(Ref No.C02030465700、アジア歴史資料センター)

「防禦営造物及付属物件に編入の件」(Ref No.C02030024200、アジア歴史資料センター)

「戦備補修工事の件」(Ref No.C02030274300、アジア歴史資料センター)