呉市広地区の螺山(つぶやま)防空砲台は今年3月に訪問しましたが、兵舎と関連施設を見逃してしまったので先日再訪してきました。
防空砲台の詳細は既にブログで纏めていますので下記記事をご覧下さい。
************************************
************************************
螺山防空砲台の施設配置図です。
この砲台周辺は戦後米軍が撮影した空中写真で鮮明に写っていますので、兵舎や関連施設も探索する場所として認識していたのですが、3月の訪問時は砲座を見てから探索しようと思っていたところ、すっかり忘れて下山してしまいました...。何事も後回しにしてはいけませんね。
再訪して遺構を確認してきたので配置図を掲載します。
北側の削平地に兵舎、その南側に関連施設がありますが、空中写真には建物がはっきり写っているので配置図に書き込みました。
・建物①…烹炊所/風呂と推測
・建物②…厠と推測
・建物③…戦後耕作地となったようで基礎を確認できず
・建物④…未確認
まずは兵舎から見ていきます。
道路の脇にピンクテープ。ここから登山道が下っています。
5分弱で兵舎地に到着。兵舎は掘り込まれて平坦に均した場所に置かれていますのでGLマイナスです。
下りてみたら水槽がありました。
もう一つ。
空中写真では兵舎の周囲に置かれた6つの水槽が確認できますが、痕跡を確認できたのは4つでした。ちなみに兵舎の建物基礎部分もはっきり分かりませんでした。
兵舎の北側に残る遺構...おそらくココには厠が置かれていたと思われますので、遺構は便槽と排水桝かと。
上記遺構に並んで少し幅広の方形基礎が残っていますが、こちらが大便室かと思われます。
兵舎地東側の斜面に半円の塹壕のような掘り込みが設けられています。写真は上からみていますが、塹壕の部分に白い線を引いてみました。
北側から兵舎地を見下ろしています。
ついでなので兵舎から北に歩いて螺山の三角点をゲットしたら、横に穴が開いていました。当時の物かは分かりません。
兵舎地を後にして関連施設跡へ。
まずは建物②の場所から。水槽とその隣に細長い凹みがあります。ココには厠があったと推測していますので、細長い凹みは便槽ではないかと思われます。
ところで...。
周辺は戦後に耕作地となったようなので段々に石積みが見られます。石積みが当時物か戦後物か判断つかない箇所もありますが、もっと言えば水槽や排水溝も実は遺構じゃなかったりして(^^;
コンクリートやレンガ物はすべて遺構だと信じて次へ。
厠から石積みされた通路を上がります。
烹炊所/風呂として使われたと推測する建物①の基礎部分が残っています。なおその隣に建物③があったはずですが、見た限りでは建物基礎を確認することができませんでした。
方形に囲われた建物基礎の中に残る遺構です。
角度を変えて。他地域の烹炊所で流し台の隣に付属する物に似ています。
沓石?みたいな物もあります。
建物①(烹炊所/風呂)で唯一壁が残っている箇所です。内側から見ています。
丸い穴が2つ開いています。土管の瓦礫が落ちていますので、土管を通す穴だったようです。
外側からも見てみます。2つの丸い穴は他地域では浴室部分で見られますのでココもそうだったのかも。
壁に隣接して建物①とは別の基礎が残っています。
基礎の中には水槽があります。
排水溝から建物①の壁を見る。
兵舎/関連施設跡で一番見応えのある石垣の上の2連水槽です。
石垣の上に設けられた水槽は他地域の海軍見張所の棲息施設でも見たことがありますが、2つ並んでいるのは初めてです。
反対側に階段があるので上がってみます。
水槽を見下ろしてみる。まずは1個目。
続いて2個目。1個目より横に長いですね。
2個目の水槽下の石垣に排水管があります。
この排水管の斜め下にはまたまた水槽があります。
以上で見逃していた兵舎と関連施設跡を確認することができましたが、この後はせっかく来たので砲座も見に行きました。
螺山防空砲台には戦争末期に九八式十糎高角砲が2基配備されましたが、呉海軍警備隊で10㎝高角砲が置かれたのは螺山と飛渡瀬(ひとのせ)第一の2か所だけです。飛渡瀬の砲座はイマイチですが、螺山は状態良く残っていますので見る価値は大いにあります。砲座に関しては既にレポ済みなので詳細は冒頭のリンクをご覧下さい。
10㎝高角砲はコレ。佐世保市の田島岳防空砲台の説明看板より抜粋しています。
2つの砲座の内、状態の良い方を見てみます。
違う方向からも。
砲座の状態は良いですがコンクリートの質は良いとは言えませんね(^^;センソウマッキダシナー
以上、螺山防空砲台の兵舎/関連施設でした。
==========================
[参考資料]
JACAR(アジア歴史資料センター)
・呉海軍警備隊戦時日誌(Ref No.C08030470300~C08030475700)
・呉鎮守府戦時日誌(Ref No.C08030329500~C08030330300)
・昭和20年9月1日 兵器軍需品施設等目録 呉海軍警備隊(1)(2)(Ref.No.C08011271900,C08011272000)
・徳山海軍警備隊戦時日誌(Ref No.C08030476000~C08030476200)
・兵器目録(Ref No.C08011396900)