水巻高射砲陣地は、現在の遠賀郡水巻町にある明神が辻山(標高96m)の山頂に設置されました。

 

大まかな場所はこちらの地図にて。

 

『第56軍国土決戦史資料』に掲載の終戦時の態勢によると、本陣地の部隊は水巻~直方の遠賀川沿いに展開していた独立高射砲第24大隊所属の第1中隊で、8㎝高射砲6門を有していました。

現在この場所は明神が辻自然公園として整備されていますが、砲座が1つだけ保存されています。また、明神が辻山の西側の標高84mピーク(朳山-えぶりやま-)には、兵舎もしくは照空部隊の施設跡と思われる石積みを見ることができます。

 

1948年の空撮です。

 

見取図です。

 

砲座の位置については、戦後米軍が撮影した空中写真から推定して記載しています。推定位置から見ると現存している砲座は2番砲座と思われます。

 

さて、このように砲座が1つ保存されているわけですが、実際に砲座を見て愕然としました。だって周囲の胸墻が作り直されているんですから(゚Д゚;)

 

看板が設置されています。

 

展望台から砲座のあった辺りを見ています。

 

右は皿倉山、左は黒崎~洞海湾~若松方面。

 

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標高84mピーク(朳山-えぶりやま-)の方にも行ってみましたが、激しく藪っているしイバラも多いので早々に退散しました(-_-;)

 

そんな中で確認した石積み。

 

以上、水巻高射砲陣地でした。

 

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[参考資料]

「戦史叢書019巻 本土防空作戦」(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)

「戦史叢書057巻 本土決戦準備<2>九州の防衛」(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)

「第56軍国土決戦史資料 昭20.11」(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)

「高射第4師団配備要図」(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)

「北九州高射砲隊配備要図」(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)

「高射砲陣地築設要領」(Ref No.A03032195600 アジア歴史資料センター)

「高射戦史」(下志津(高射学校)修親会)

「福岡県の戦争遺跡」(福岡県教育委員会)

「地図・空中写真閲覧サービス」(国土地理院)