通信所に続き“謎シリーズ”第2弾です。

 

対馬中部、標高188mの浅茅山(大山岳、おやまだけ)の山頂付近に砲台跡が残っています。ですがこの砲台のことは、陸軍築城部が編纂した『現代本邦築城史』をはじめ、どの書籍・資料にも書かれておらず、詳細不明の謎の砲台となっています。

 

場所を地図で示します。

 

地図には砲座の向きから射撃の首線を推定していますが、「お前どこ撃ってるんだよ!?」って方向を向いています。

海面ではなく陸上射撃と言った感じですが、なぜココに構築しようと思ったのでしょうね。もしかしたら演習砲台だったのかも。これまた謎ですが造り的に明治期かなと思われるので、「第2次築城期」カテゴリーの最後に書くことにしました。

なお対馬観光物産協会の冊子『対馬砲台あるき放題~対馬要塞まるわかりガイドブック』には、この砲台は「明治36年竣工」と記載されています。なぜ竣工年だけ分かるのかその根拠を知りたいので、今度聞いてみようと思います。

 

謎の砲台までの道のりは、当時の軍道が登山道として整備されていますので、20分程度歩けば到着します。

 

砲台の配置図です。

 

まずは、右翼にある塹壕から掩体を見ていきます。

 

突き当りにある掩体です。

結構深いですね。

 

掩体を見下ろしています。

 

次に砲座を見ていきますが、火砲1門が配備されたと思われるやや小さめの砲座が6つ横一線に並んでいます。

 

内側には砲側弾薬置場と思われる開口部が見られます。

 

砲座を斜め上方から。

6つの砲座とも同型で、前方部分の盛り土は写真のように削られています。火砲の砲身を出す部分だったのでしょうか。それなら射界がめっちゃ狭いことになりますが(・。・;

 

砲座後方の通路です。

 

この通路を支えるのは立派な石垣。

 

砲座の左翼側には上にあがる通路があります。

床面は階段のようになっています。

 

上がるとこんな感じ。両側の壁が高いです。

 

壁の凹み。灯りでも置かれていたのかな。

 

ピークに上がりました。見下ろしています。

 

石の瓦礫?が積まれています。立地的には観測所っぽいのですが。

 

以上、謎の大山砲台でした。

 

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[参考文献]

「対馬砲台あるき放題~対馬要塞まるわかりガイドブック」(対馬観光物産協会)

「国土地理院地図(電子国土web)」を加工して使用