こんにちは。
mizukiです
中学3年生 支援級在籍
軽度知的障害(IQ50〜69)
ケーくんと、
姉のネー子、パパとの静かな日常
を書いています
ケーくんは、
中1の秋から不登校気味。
躁うつ症状に悩まされながらも
成長を見守っています。
小5の夏の終わり頃から
ケーくんの様子は変わり始めました。
今思えば、うつと軽躁の兆候が
見えていましたが、
その時はまだ気づきませんでした。
たまに塞ぎ込むこともあれば、
イライラと怒りっぽかったり。
妙に自信満々になって、
イキってみたり。
不安定になることはあっても、
しばらくすれば落ち着いたので
年齢的にそういう時期かな、とか
たまたまかな、とか
そう思っていました。
けれども、
見過ごせない異常さが、
徐々に現れはじめます。
明らかな異変は、
私のいない所でした。
慌てた電話がかかってきた。
「ねぇ!どうしよう!!もう、手に負えない!!」
移動中の車からだった。
狭い車内で
ケーくんが暴走している…?
状況がよく分からないが
とにかく、速やかに帰宅するよう伝えた。
外出先の家族から
電話がかかって来るなんて
今までなかったことだ。
私が見なければ。
様々なことを想定して
覚悟をして待った。
…
車が着いた瞬間から
激しいわめき声が聞こえた。
ケータの声とネー子の声。
「✕✕✕!!」
「もうママに言うから!!ママ!」
「あーいいよ!言ってみろよ!それでー?!」
今まで見たことのない
その様子に、
覚悟をしていたにもかかわらず
わたしは息をのんだ。
まるで別人。
今までのケータではなかった。
すごいエネルギーで
まくしたてるようにしゃべり
動作も大きくて、
うろうろ歩き回って、
動きもしゃべりも
まったく止まらなかった。
「はぁ?!おかしくないよ!!何いってんだよ!!あっちが悪いんだよ!ひどいの!!俺悪くないから!!」
わめきすぎて声が枯れていた。
ちょっと、
落ち着きなさい!
口をはさむと
怒鳴り返された。
(ケータが怒鳴る…?)
目の前の光景が
信じられないくらい
驚いた。
いつもの彼なら、
少し強く言えば
しゅんとするのに。
でも今は、まったく違う。
激しく当たれば当たるほど
倍になって返ってきた。
パパはとても
穏やかな人だけど
この時ばかりは顔をしかめて
所々できつく注意をしていた
「ケータ!それはダメだろう?!」
それがまた、
火に油のようだった。
それをわかってかパパは、
安全確保に徹するように
後ろから見守っていた。
ネー子はパパ似で
日常で怒ることがほぼない。
嫌なことがあっても
スッと自室に籠もり
音楽を聴いて気分転換をするような子で。
そんなネー子も
わたしに電話をかけるほど
当惑していた。
そしてケータに苛立ち
我慢の限界。
ついに
「そんなケータ嫌いだよ!!」
と言い放った。
ケーくんは相当のお姉ちゃん子で、
姉であり、友であり、仲良しの
たぶん一番大切な存在。
それが、
『嫌い』という言葉に
反射的に
ネー子に掴みかかった。
私は、
顔色を変えてネー子を庇った。
そしてすぐに、
その場で立ち尽くす
家族全員を部屋から出して
戸を閉めた。
ネー子を傷つけることだけは
ダメだ、許さない、許せない。
ケーくんと二人きりになった。
獣のように荒れ狂い
ネー子を追おうとするケーくんを
私は一息吐くと、
布団の上に押さえ込んだ。
「わかった、わかったから。
でもダメ!!絶対だめ!!」
と、顔を見て言い聞かせる。
ケータは暴れて暴言を吐く。
あの穏やかで優しいケーくんに、
こんな力づくの対応を
することになるなんて。
でもまずは落ち着かせないと。
「わかった、わかったよ。
よしよし、大丈夫だから。」
わたしはケータが泣いたときに
いつもかける言葉をいいながら、
逃げないように全身で
ギュッと抱きしめた。
そして二人で、息を吸った。
暴れているケータの
頭や体を撫でた。
徐々に呼吸が揃っていき、
しばらくすると諦めたように
ケータの力が抜けていく。
わたしもいっしょに力を抜いて
無言でケータの頭や体を
優しく撫で続けた。
やがて
呼吸が落ち着いてきて、
ケータは静かに眠ってしまった。
初めての
嵐のような時間は
一旦終わった。
でも。
目が覚めたケータは
目の色が違い、
ギラギラとしていて
態度は横柄で
攻撃的で
すぐに人を煽るような言葉を口にする。
どこでそんな言葉を覚えたのか?
こんなに頭がよく回るようになったのか?
驚くことばかりで。
そしてそれは、
一度きりではなかった。
何かのきっかけで
度々
こういった事が
起きるようになった。
私達は、
その嵐のような激しい波がおさまるまで
ただ、じっと
耐えるしかありませんでした。
ボチボチいこう