11月21日の朝日新聞に「チャットGPT 職業に性別偏見」という見出しがあった。
宇宙飛行士は男性的、看護師は女性的と捉えるなど、チャットGPTが職業に対してジェンダーバイアスを持っていることが分かった、という内容。朝日新聞が専門家の監修を得て分析した結果だそうです。
チャットGPTはネット上で大量のデータを学習しているわけだから、記事の内容自体を意外には思わなかった。むしろおれは、分析のために質問者がサンプルとして選んだ職業の種類のほうが興味深かったのだな。
この研究では、「人間が女性的と捉えがちな10職業」「男性的と捉えがちな10職業」「どちらとも思いにくい10職業」を選んで、それぞれについての男女観をチャットGPTに3千回質問したそうだ。
その職業とは次のとおり。
☆人間が女性的と捉えがちな10職業(チャットGPTのバイアスが強かった順)
看護師➡教師➡保育士➡ハウスキーパー➡ダンサー➡受付係➡司書➡スタイリスト➡管理人➡インテリアデザイナー
☆人間が男性的と捉えがちな10職業(同じくバイアスが強かった順)
大佐➡労働者➡副官➡副首相➡数学者➡宇宙飛行士➡プログラマー➡肉屋➡船長➡経済学教授
さて、以上の選択を見て面白かったのはまず、なぜ大佐を選んだのかだ。
大佐というのは〝職業〟なのかなあ。〝階級〟だと思うのだけど。中佐や軍曹は違うわけ?という疑問が浮かぶし、ここは軍人でいいのでは。
同様に副官と副首相も、なぜ〝副〟がつく役職を2つも選んだのか。単に首相のほうが、より「男性的と捉えがち」な役職ではないかな。
あと労働者がナゾだ。
働く人は全員が広義の労働者なわけだし、労働者という〝職業〟があるわけじゃないのにね。
推察するに、これは肉体労働者(いわゆるガテン系)を想定しているのではないだろうか。それを遠回しに言おうとしたとしか思えない。
差別語などに対してやかましくなった1970年代ごろには、放送局の言い換え集に「労務者は労働者とすべし」みたいなことが書かれていたのである。実際、昔のニュースでは「犯人は一見労務者風で…」などと言っていた。
「女性的」のほうでは教師がナゾだった。教師って女性的と捉えられがちな仕事なのか?
おれの場合は小中高で合計11人の担任がいたけど、そのうちで女の先生はたった1人だけだったけど。その後は女性教師も増えたのだろうが、特に女性的というイメージは感じられないが。
それと笑ってしまったのは管理人である。これを選んだ研究者には『めぞん一刻』の刷り込みが強すぎたのでしょうか。
残る「どちらとも思いにくい10職業」は残念ながら列挙されておらず、例として庭師と従業員が挙げられていた。従業員というのも〝職業〟ではないような気が……。
というわけでAIのジェンダーバイアスよりも、人間が選択した職種のほうがよほど興味深くて、楽しめたのであった。