「アニメのヌルヌルとした動き」への追記 | 日本語あれこれ研究室

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日常生活の日本語やメディアなどで接する日本語に関して、感じることを気ままに書いていきます

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 先日のブログにツイッターの方でけっこう反響があった。日詰明嘉さんから「このページに監督やアニメーターの見解がまとめられたリンクが貼られています」というコメントがあったので見てみました。

 以下に、その中からいくつか引用します。

 

片渕須直氏

若いファンが「ぬるぬる動く」と言う場合は、単に「枚数が多くてよく動く」。まあ、ポジティブな表現です。僕らの世代だと、枚数は多いけど、あまり質のよくない動きを「ぬるぬる」と感じるのではないですかね。1コマ打ちの割り損ない、みたいな。

西田亜沙子氏

ぬるぬる動くって、ほめる時の言葉じゃないよね?一コマベタ打ちの動きの感覚のことだよね?

◆佐倉大(北久保弘之)氏

皆さんが(主にフル・フレームで動かすアニメ)「ヌルヌル」動くこの表現に悪意が無い事は重々承知していますが、せめて、もう少しフィットする言葉って、選べないでしょうか?

 

 この三名は、おれと同世代です(いくぶん若いかも知れないけどまあ大差ないっつうことで)。同じような感覚を持っていてくれたので少しほっとしてます。

 

 ナ行のオノマトペって、基本的にいい意味ではないことが殆どですよね。どこか不快さを伴っているような。

「なめなめ」「にたにた」「にちゃにちゃ」「にょろにょろ」「ぬめぬめ」「ぬらぬら」「ねっちょり」「ねちねち」「ねとねと」など粘着質な感じが強い。これらと親戚筋の形容詞や動詞にも、「なめる」「にやける」「ぬかるむ」「ぬるい」「ぬれる」「ぬめる」「ねちっこい」「ねめつける」「ねばる」など色々あります。

 こういう日本語特有の皮膚感覚のようなものが、おれなんかが「ヌルヌル」という「ほめ言葉」に馴染めない理由だと感じるのです。

 

 だから、若いファンがヌルヌルをほめ言葉として使うのは、この違和感を逆手にとって楽しんでいるのだろうな、と思うことにしようと思います。

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