俗語シリーズ・「ひもづく」 | 日本語あれこれ研究室

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日常生活の日本語やメディアなどで接する日本語に関して、感じることを気ままに書いていきます





あるテレビ局のスタッフがアニメの打ち合わせの席で時々「ひもづく」と言うのだ。「このキャラの行動はここにひもづいてるわけですよね」みたいに言う。初めてそれを耳にした時は、何かの言葉(例えば「ひもとく」とか「基づく」とか)をこの人は間違って覚えてるんだな、とおれは内心で決め付けていた。

 

しかしその後に知ったところでは、何年か前からIT業界なんかで使われている言い方なんですってね。「紐づく」または「紐付く」と書くらしい。しかし、「ヒモ付きの男」などの言い方が昔からあるし、いい雰囲気の言葉ではない。おれは、これまでになかったニュアンスを表現している新語には好感を持つが、そうではないのなら必要ないと思ってしまう。この場合ならば「結びつき」とか「つながり」でいいではないかと思うし。

この言葉、どのくらい普及しているんだろう。少なくともおれの妻子は聞いたことがないと言っていた。

 

 なんて呑気に構えていたら、ついに先日テレビの報道番組で使われているのを初めて聞いた。番組名は失念したが女性解説者が、何かが何かに「紐づいています」と言っていた。冒頭で述べたテレビ局スタッフの使用頻度もこのところますます上昇しており、一回の打ち合わせで4回も5回も言うのである。その人はそういう局面を今まで何と表現していたのだろうか。

きっとこれから一般化していき、あちこちで聞くようになるのだろうなあ。なんかイヤな語感の言葉だなあ。あんまり聞きたくないなあ。

どちらにせよおれは自分からは絶対に使わないであろう。

 ちなみに、「ひもづく」は嫌いだけど「もづく」は好きです。