V-Disc Ladies Vol.2 | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和6年5月14日(火)
V-Disc Ladies Vol.2(★★★★★)
ノスタルジ度(★★★★★)
ジャケット(★★☆☆☆)
ジャンル:Jazz Vocal


Side 1 
* Martha Tilton
1.Beyond The Blue Horizon
2.If I Had You
3.I'm In The Mood For Love
*  June Christy
4.I've Never Thought I'd Sing The Blues
5.That's The Stuff You Gotta Watch
6.Ride On

Side 2
* Betty Roché
1.Trouble, Trouble
* Billie Holiday
2.Don't Explain
*Kay Starr
3.There's A Lull In My Life
4.What Goes Up Must Come Down
* Marie Greene
5.The Man I Love
6.Solitude
7.I Know That You Know

Martha Tilton, June Christy, Betty Roché, Billie Holiday, Kay Starr, Marie Greene(vo)

Recorded 1943~1947
Released by エレックレコード株式会社-KV-116(mono)

昨日の日の入りは18時52分だった。
今朝の日の出は4時54分だ。
今朝はピーカンの青空が戻ってきた。
しばらくは五月晴れの日が続くようだ。

43年から47年にかけての録音をピックアップしたコンピ盤。
音源はV-Discで、エレックによる復刻盤。
茫洋として煙ったデザインのジャケット。
これは手抜きそのものでいけません。

Vディスクは大戦中に米軍兵士の慰問のために作られたもので
専用の蓄音機と一緒にパラシュート投下されていた。
トータルで1200種近くが製造されていた。
SP盤と違ってビニライト盤なので音は少し良かったようだ。

針を下ろすとマーサ・ティルトンののMCから始まる。
ちょっとノイズはあるものの気になるレベルではない。
SP盤よりレインジが広く、豊かな音がする。
こういう慰問品が投下されていたんだから、さぞ士気は上がったことだろう。

マーサに続いてジューン・クリスティが3曲入っている。
ケントンのMCで始まる。
このVディスク版はキャピトルのLPには収められておらす、
Vディスクだけの収録だったのでたいそう貴重なものである。

クリスティがケントン楽団に入団して間もなくの録音である。
甘く初々しい歌声が何とも言えず素晴らしいので
兵士達はよけいに里心がついて、逆に士気が下がったかも知れない。
これも充分な音質で聴き応えがある。

裏面はベティ・ロシェが1曲入っている。
デイブ・マシューズのコンボが歌伴で
マシューズがMCで紹介をしている。
柔らかく魅惑的な歌唱でこれまた里心を呼ぶ。

続いてビリイ・ホリデイ。
MCをしているのはルイ・アームストロング。
47年カーネギーホールでのコンサート録音からVディスク化している。
ホリデイの若く切ない歌唱がまことに素晴らしい。

続いてケイ・スター。
レス・ポールトリオの歌伴で2曲歌っている。
甘い歌声でこれも士気の上がる歌唱かも知れない。
ヴェヌーティ楽団に在籍していた頃の演奏である。

最後はマリイ・グリーン。
デイブ・マン・トリオの歌伴で3曲歌っている。
本人がMCをしている。
ずいぶんと可愛らしい語り口なのに歌唱はぐっと大人びた発声だ。

米軍がVディスクで当時の人気歌手の歌を送っているのに、
日本軍は短調の軍歌に“欲しがりません勝つまでは”の根性論である。
これでは勝てるわけがない。
まあ、Vディスクで厭戦に陥った米軍兵士もいただろうけどね。