Piano Starts Here / Art Tatum | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和6年4月6日(土)
Piano Starts Here / Art Tatum(★★★★★)
ノスタルジ度(★★★★★)
ジャンル:Swing


Side 1 
1.Tea For Two
2.St. Louis Blues
3.Tiger Rag
4.Sophisticated Lady
5.How High The Moon
6.Humoresque
7.Someone To Watch Over Me

Side 2
1.Yesterdays
2.I Know That You Know
3.Willow Weep For Me
4.Tatum Pole Boogie
5.The Kerry Dance
6.The Man I Love

Art Tatum(p)

Recorded Mar. 21, 1933, Apr. 5, 1949
Released by Columbia – CS 9655(mono) / CBSソニー株式会社 – 20AP 1842(mono)

昨日の日の入りは18時21分だった。
今朝の日の出は5時37分だ。
花曇りの朝だ。
昼には気温が高くなり桜が一気に開花するだろう。

アート・テイタムの33年と49年の録音。
オリジナルはコロムビア、これはソニーの80年復刻盤である。
ジャケットに品がなくていかん。
これはテイタムに失礼というもの。

針を下ろすと、少し音圧は低いが、
テイタムのきらめくピアニズムに圧倒される。
テイタムが奏でる“Tea For Two”は朗らかで楽しさに満ちている。
こういう風には誰も演らぬ。

いや、演らないのではなく、演れない。
テイタムが速弾きをしても技巧的に聞こえないのは
彼が演奏をおもいのまま存分に楽しんでいるからだ。
テイタムを渋顔に描いたジャケットは窓から投げ捨てるしかない。

実行する勇気はないんだがね。
ま、コロムビアが悪いのであって
アタシがソニーの担当者だったら独自のジャケットに差し替えるね。
何でもオリジナルどおりに復刻したらいいものではない。

テイタムが満面の笑顔を見せている写真にしたら満点だったのに。
ソニーにはそんな勇気があるはずもなし…。
裏返しにしてテイタムのきらきらと輝く演奏を楽しもう。
腹立ちで聴いてはテイタムに失礼だ。

ウラジミル・ホロヴィッツはテイタムの“Tiger Rag”を聴いて
“私の目と耳が信じられない”と驚愕したそうだ。
ホロヴィッツは二日後にトスカニーニを連れて
またカフェ・ソサエティに足を運んだそうだ。

ホロヴィッツもまた“演奏の喜び”に充ち満ちたピアニストだ。
オンガクは朗らかに演るのが一番である。
朗らかな演奏を笑顔で聴くのは人生の至高のひとときである。
とてもいいアルバムだ。