IN THE MOOD/The King Sisters | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


IN THE MOOD/The King Sisters(★★★★★)

Side 1
1.  In The Mood(Andy Razaf, Joe Garland)3:24
 Rec. Nov. 13, 1939
2.Sweetheart Of All My Dreams (Art Fitch, Bert Lowe, Kay Fitch)2:47
 Rec. Mar. 9, 1945
3.Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive(Harold Arlen & Johnny Mercer)2:51
 Rec. Dec. 14, 1944
4.Cielito Lindo(Traditional)2:40
 Rec. Mar. 28, 1940
5.Take Me In Your Arms(Fred Markush, Fritz Rotter, Mitchell Parish)3:04
 Rec. Mar. 22, 1945

Side 2
1.Oh, How I Miss You Tonight(Davis, Burke, Fisher)3:10
 Rec. Mar, 04, 1942
2.Back In Your Own Backyard(Jolson, Rose, Dreyer)2:53
 Rec. May. 02, 1941
3.Music Makers(Don Raye, Harry James)2:32
 Rec.  May. 02, 1941
4.I Came Here To Talk For Joe(Tobias, Brown, Stept)3:12
  Rec. Jul. 10, 1942
5.Moonglow(DeLange, Mills, Hudson)2:57
  Rec. Jul. 14, 1941

The King Sisters(vo), The Rhythm Reys Orchestra (A1 to A5), Alvino Rey Orchestra (B1, B4), Buddy Cole And His Orchestra (B2, B3), Freddy Martin And His Orchestra (B5) 

Recorded 1939 - 1945
Released by RCA Camden ‎– CAS 929(e) / RVC株式会社 RJL-2660(M)

朝からどんよりと曇っている。
厚く雲が垂れ込めて大気が動かぬ。
満腹した猫又はいそいそと布団に潜り込んでしまった。
昼には雨模様になるだろう。

キング・シスターズの39年から45年にかけてのコンピ・アルバム。
RCAが66年に復刻し、83年にビクターから出た国内盤である。
30~40年代には素晴らしいガール・グループがあった。
ボズウェル・シスターズ、アンドリューズ・シスターズ、マクガイア・シスターズ…。

キング・シスターズは声楽家の父親とチェロ奏者の母親の間に
四女二男の六人兄姉として生まれた。
初めは親子八人の演奏グループで興行していたようだ。
やがて姉妹四人だけでキング・シスターズを結成した。

トリオの多い中でカルテットは強みである。
トリオでは決して出せない重厚な和声がまことに素晴らしい。
姉妹だから声質がぴったりと合って
なんとも言えぬブルージイなハーモニーを醸し出す。

我が国では単調なハーモニーのヴォーカル・グループばかりである。
それが求められたのではなく単に複雑な和声が出来なかっただけのことだ。
和声もそうだが、リズム感が日本人には出せぬ。
スイングできるグループがない。

キング・シスターズの重厚な和声と軽やかなスイング感は
ちょいとマネができぬ。
アタシは自分の音高感とリズム感のなさはよく判っている。
それが日本人の血として染みついているから仕方がない。

アタシが米国で生まれ育ったとしても
天性の感覚には相当に違いがあるだろう。
それでよいのだ。
JAZZは聴くに限る。

そのためにこうしてVINYLがあるじゃないか。
裏面最後の“Moonglow”。
ウィル・ハドスンの作曲したラブ・ソング。
センチメンタルな旋律に分厚い和声が何とも言えぬ。



曇空にキング・シスターズのやわらかな声がまろやかに響く。
これもまた夏に聴いちゃいけないアルバムだ。
秋と初夏だけが似合うアルバム。
本当によい季節になってきた。