マランツ1070君からラックスマン45A君へ急遽交代 | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。



結論はすぐに出さぬ予定だったが
1070君のドライすぎる表情に我慢が出来ず
1070君はふたたびベンチへ帰った。
リリーフ登板はラックスマン45A君である。

45A君は、フォノ切り替えのトグルスイッチの接触不良で
二軍にも入れてもらえず冬眠していた。
スイッチは相変わらずだが、他はどうなんだろう?
チューナは問題なし。

CDも問題はない。
フォノはMCがダメだがMMは生きている。
がちゃがちゃ動かすと盛大なノイズが出るので危険だ。
とりあえずCDで様子を見てみよう。

CDはいつものリファランスにしているWaltz For Debby。
さすがのラックスマン君、音の鮮度がちがう。
二階の冷たい場所で冬眠していたから
しばらくウオームアップしないと判断はできぬ。

ビル・エバンスを聴いているうちに
どんどん音がほぐれてきた。
さすがにそつのない良い音がする。
低域が不足気味だが、薄っぺらい低域ではない。

チューナのクラシック番組もふくよかな音で鳴っていて
なにも問題はない。
問題はフォノ・スイッチだ。
ばらすのは無理だし、接点復活材を吹く隙間もない。

そろそろ暖まってきたかな。
フォノで聴いてみよう。
ソースはブレイキーのハード・バップだ。
フォノ切り替えスイッチは3段階ある。

MM、MCダイレクト、MCとなっている。
このトグルスイッチというのが厄介者だ。
通常はがっちりモールドになっていて分解できぬ。
接触不良がおきれば全交換しかない。

MCで聴いているうちに音量がぐっと下がっちまった。
MMに切り替える。
カートリッジはDL-102だが、トランスを咬ましているから
MMで問題はない。

うーん、なんとも音量を上げないと頼りないなあ。
ボリュームを上げていくとなかなか澄んだ音色だ。
1070君はとんがってるからなあ。
悪くはないぞ。

問題はこのフォノスイッチだ。
MMで聴けているからいいじゃないの、とはならぬ。
いつおかしくなるか判らぬまま使うのは不安になる。
だいたい家にある古物をとっかえひっかえ使うのがいけない。

だが、古いアンプにはそれなりのよさがあるんだよ。
今のアンプにない音色とカオ!
特にカオは重大だ。
クラシックな面持ちが何とも言えずぐっと来るじゃあないの。

まあ、何にしても古物には違いない。
古物がそうそう問題なく鳴るわけがないのである。
1060君や1070君とずいぶんちがうのは音の鮮度である。
細部がしっかりくっきりきこえて来るのである。

だが、トンコントロールをいじってみても
それほど効き目がはっきりしない。
鮮明さはあるものの豊かさがない。
1070君ほどは尖らず、清々しい空気感がある。

ここでアタシは自分の求めている音とは何かがはっきりした。
“がちゃーんサウンド”とは、畢竟、厚みのある豊かで
前へ前へ出てくる鮮烈な音、ということだ。
高音も中音も低音も豊かな厚みを持って欲しいと言うことだ。

というわけでジャズ・メッセンジャースの極めつけを聴こう。
LIVE AT KIMBALL'S/Art Blakey & The Jazz Messengers

Side A
1.Second Thoughts
2.I Love You
3.Jody

Side B
1.Old Folks
2.You And The Night And The Music
3.Polka Dots And The Moonbeams
4.Dr. Jekyl

tp : Terence Blanchard
as : Donald Harrison
ts : Jean Toussaint
pf : Mulgrew Miller
b : Lonnie Plaxico
ds : Art Blakey

Concord Records : CJ-307  1985 Kimball's S.F. Live

ああ、さすがさすがのブレイキー様。
メンバーが今風の若者ばかりなんだが
なんてまあ、勢いのあるユニットだろう!
再起ある若者を従えて冴え渡るドラミングとはタダモノじゃない。

このVINYLはキングレコードが自社生産せずに
コンコードから輸入して、本体とは別にカバーを付けて
そこにライナーを載せて発売したものだ。
それが国内販売では一番よいのだ。

自社カッティングするからいかんのだ。
じゃあ、並行輸入はどうなの?
そりゃ、経営努力だよ。
ま、軽量薄弱のCDに押されて身動き出来なくなったんだね。

昨今、再びVINYLブームが起きつつあるようだが
ネット配信という対抗馬が現れている。
ハイレゾになってやっとアナログに近づいてきたのだから
強敵でも何でもない。

第一、ネット・オーディオじゃあ
ジャケットも本体もないじゃないの。
音源をクラウドにして音だけ聴いてりゃ
VINYLの儀式もなにもない。

VINYLにはVINYLにしかできぬことがある。
ジャケットを手に持って眺め、
VINYLを取り出して持ち重りを愉しみ、
センターレーベルをしげしげと確認するよろこび。

実態のあるモノとしてのVINYLは
データでしかないクラウド音源とは根本的にちがう。
世には、レーザターンテーブルもあるようだし
テクノロジーはどう進化するか見当も付かぬ。

だいたい骨董品でオーディオやってんだからな。
骨董品には骨董品ならではの楽しみがあらあな。
その点、人間はちがうね。
老いても骨董品にならぬブレイキー様だよ!