はじめまして、当ブログ管理人のねこふくろうです。

このブログはWebやアプリで読めるマンガを中心に紹介してみるブログです。

 

突然ですが、この現代において「かっこいい」とはどういうことだと思いますか?

食べログに頼らずオススメの飲食店を紹介できること?それとも、行きつけのボルダリングジムがあること?

 

どちらもまぁ正解と言えるでしょう。スマートな振る舞いというのはかっこいいですよね。

 

ですが、僕の持つ答えは違います。

この現代社会においてかっこいいとは、岩井俊二監督作品のことなんです!

岩井 俊二(いわい しゅんじ、1963年1月24日 - )は、日本の映画監督・映像作家・脚本家・音楽家。

1993年、テレビドラマ『if もしも~打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を演出し、日本映画監督協会新人賞を受賞。1995年、初の長編映画『Love Letter』を監督。日本や中国でも好評だったが、韓国では特に爆発的な人気を呼んだ。これに続く『スワロウテイル』は賛否両論あったが、岩井の知名度を大きく上げた作品である。

[引用]wikipedia 岩井俊二

「スワロウテイル」や「リリィシュシュのすべて」など、岩井俊二監督作品には独特のかっこいい空気が満ちており、若かりし頃の僕も多分に影響を受けたものです。

そして今、次の岩井俊二はこの人だと確信させる恐ろしい才能が現れました。それが今回紹介するマンガ「かっこいい縄文時代」です。

 

 

少年ジャンプ編集部が評価をしてくれるマンガ投稿サービス「少年ジャンプ ルーキー」に彗星のごとく現れたこの作品、とにかくその名に恥じぬかっこよさで(僕の中で)話題沸騰中。

 

舞台は縄文時代。獣を狩るシーンから物語は始まります。

 

野山を群れで渡る獣。木々には葉がついておらず、厳しい季節の訪れを予感させます。大地を踏む草鞋(ぞうり)。その足音が聞こえたのか、あるいはこの後に自分を待ち受ける運命を感じたのか、獣の漆黒の瞳がコマいっぱいに映し出されます。

そして姿を現す3人の狩人。そのひとりが弓を構え、獣に向けて静かに狙いを定める……。

 

隙と無駄がない!このわずか1ページの中に、かっこよくないコマがひとつもない!弓を構えているコマなんて、右から左へまっすぐ矢をつがえる構図と、左にぶちぬいたコマの使い方が、なんとも次のページへの期待を誘ってくれるじゃないですか。

[引用]1ページ目にしてこの情報量!

 

期待に胸を膨らませて次のページへと進みます。

狩りを終えたその夜でしょうか。若者2人は縄文土器の並ぶ小洒落たBARで酒を酌み交わしています。

言葉少なに酒を飲む2人。やがて巻き髪の青年がこう告げます。

 

「タイムマシンできたけど…来る?」

これがこの作品の最初の台詞です。ここまで擬音の類いもなし。

[引用]BARでの会話に前置きなんて必要ない

 

たっぷりと十分な溜めのあとで、物語の背景が一気に明らかになります。彼らはタイムマシンに乗り、2013年から誤って縄文時代に来てしまったというのです。

 

[引用]ドローンを使ったかのようなかっこいい空撮

 

先の台詞から察するに、彼らが乗ってきたタイムマシンは縄文時代に来ると同時に壊れてしまったのでしょう。また、タイムワープをするには様々な条件が必要なようで、明後日の夜を逃すと次は約23年後になるというのです。

 

しかしながら、タイムマシンが出来たからと言って手放しで喜ぶ素振りもない2人。3年という月日をこの時代で過ごしたことにより、愛着を持ってしまった様子です。

 

[引用]どうやら元の時代に対し思うところもある様子

 

そして場面は再び夜。モジャ髪の青年はひとり、いつものBARに通っていました。相棒の姿はなく、その夜はマスターのジェイモンドとふたりきりです。

 

 

[引用]OIKOSは古代ギリシャ語で「家」を意味する言葉。モジャ髪たちが名付けたのか、2人にとってはその名の通りの場所であったことが、モジャ髪の台詞から伺えます。

 

モジャ髪は自分が1万5千年後の未来から来たのだとジェイモンドに語ります。しかしながらジェイモンドは動じない。「そうか」とうなずき、鹿のスモークを薦めるのみです。まさに理想のバーテンダーを絵にしたかのようじゃないですか。まぁ絵なんですけど。

 

[引用]おしゃれな草も添えてある

 

さて、BARでしんみりと飲んでいたのも束の間、隣の集落からやってきたというならず者ともめ事を起こし、モジャ髪はこてんぱんにやられてしまいます。

ですが、ならず者たちと共にいた女性が、そんなモジャ髪に興味を持って近寄ってきたじゃないですか。かっこいい映画とかドラマによくある展開だ!

 

[引用]ならず者と一緒にいたのも生きるため。女性が単身で生きるにはつらい時代だぜ、縄文時代。

 

ふたりはそのまま女性の家に。期待を裏切らないエロい展開が始まる……と思いきや、タイムワープの前は射精できないとの理由でモジャ髪の方からお断り。物語上そんな理由が必要なのかって?なんとなくかっこいい以外の理由がいるか!

 

それにしてもこのマンガ、台詞はもとよりちょいちょい演出がかっこいい。映像を多分に意識したであろう見せ方が随所に垣間見えます。

 

例えばならず者にやられた後、モジャ髪が川で傷を洗い流すシーン。夜の森で輝く梟の目が、夜空の星へと繋がり、またその星は川面に映る輝きであったことをさりげなく描いています。

 

[引用]梟は序盤でもここへの伏線的に出て来る

 

他にわかりやすいところだと、女性と共に寝そべるゴザベッドシーン。執拗なまでにモジャ髪の乳首を攻める女性の手つきが、やがてタイムマシーンの目盛りを調節する青年の手へと移り変わります。

 

[引用]まるでフランス映画のようなオシャレ演出。フランス映画ぜんぜん知らないけど。

 

さて、物語はクライマックスへ。翌朝になり、モジャ髪は巻き髪の青年とジェイモンドの見送りを受けながらタイムマシーンで別の時代へと向かいます。

巻き髪はやはりこの時代に残るのだと言います。そうなると心配なのが、このあとのタイムワープが失敗した場合です。タイムマシーン作ったの巻き髪っぽいですからね。

でもそんな心配は無用でした。「また間違えて知らない時代に飛んだらどうするのか?」というジェイモンドの問いに、モジャ髪はこう答えるのです。

 

「その時はまたいいバーテンダー見つけるさ」

 

[引用]クール!クールジャパンはここにあったぞ、日本政府!!

 

そうして別れを惜しみながらも最後の時が訪れます。見上げる人々を残し、モジャ髪を乗せたタイムマシーンはゆっくりと空へ上がっていき、物語は終わるのでした。

 

この最終ページの空気感!たっぷりと余韻を含んだ見せ方は、唐突なようでもあり、けれどそれ以上のすべての語りは邪推なんだと断ち切る潔さがあるじゃないか!

まさに岩井俊二的ENDING。今にも小林武史プロデュースのこれまた空気感たっぷりな主題歌が流れ、スタッフロールが始まってもおかしくないのです。

 

[引用]タイムマシンを見上げる様は、映画「スワロウテイル」の三上博史を彷彿とさせますよね。させませんか。そうですか。それにしても最後まで台詞がかっこいい。

 

24ページの読み切り作品ということで、とても短い作品ではあるのですが、それでもまだまだ紹介しきれず割愛した台詞やコマがたくさんあります。むしろ捨てコマがない感じ。

単純に「なんとなくかっこいいでしょ」といったノリだけで描かれているのではなく、ちょっとした事がいちいち計算されているからこその、正しいかっこよさがこのマンガにはあります。

 

というわけで、明日から使えるかっこいい言葉が満載な「かっこいい縄文時代」をご紹介させていただきました。未読の方はぜひ読んでみてくださいね。

 

少年ジャンプルーキー「かっこいい縄文時代」