光あるうちに | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
北川八郎の日々の想いや情報を発信してまいります。

光あるうちに光の中を歩め・・と晩年のトルストイは説いている。

 

俗世における恋情や私有欲 名誉欲 経済的成功がいかに私たちの心を金縛りにしているか。

 

それを理解する間もなく 多くの人が一生を終えると悲しんでいる。

 

秋も近い夕べに 遠い山を眺めつつ椅子に身を沈めていると 50年を一瞬に感じ「何をしてきたのだろう」と深いむなしさにとらわれる。

 

「人生に疲れたのだろう」とか「少し迷っているだけさ」という表面的な言葉では癒されないものを感じる時がある。

 

奥深い所から生じる不安と焦燥は快の追求でごまかせず 絹服と高級車に囲まれても消え去ることはない。

 

フツフツとわいてくるむなしさを消すには「忙しく立ち働くしかない」と人は言う。

 

心が揺らぐと生活が揺らぐ。揺らぐ心を買い物で埋めても揺らぎは止まらない。

 

人の優しさと温かさが一番の薬となる。

 

私は幼いころから競争心と向上心を取り違えていた。今は欲と意欲の違いもわかる。

 

多くの友人が夢と野望を混同している。野望は個人の欲であり 人を傷つけることをいとわない。

 

友は言う。死に際して「俺はやることはやったし 満足満足」と言って死にたいと。

 

その裏に悲しみと犠牲を伴っていたとしたら 野望のうちに死んだにすぎない。

 

あの世に持っていけるのは 人に与えた悲しみと喜びだけだ。

 

仏様の前に差し出す白札が多いか 黒札が多いか。

 

欲と競争と野望にまみれた人生は 砂袋だらけの気球みたいなもので決して天に昇れないだろう。

 

(「光る足」より)

 

※5月1日の熊本小国楽心会は行動自粛要請に伴い中止とします。

オンラインで自宅から生配信します。

詳細:https://manganigama.jp/