マクロライド系抗菌薬とは
マクロライド系抗菌薬は、細菌のタンパク質合成を阻害することで抗菌作用を発揮する薬剤の一群です。グラム陽性菌、マイコプラズマ、クラミジア、一部の嫌気性菌など、幅広い細菌に対して効果があります。一方、ウイルスや真菌には効果がありません。
マクロライド系抗菌薬は、1950年代にエリスロマイシンが発見されて以来、長い歴史があります。その後、様々な改良薬が開発され、現在では多くの種類のマクロライド系抗菌薬が臨床で使用されています。
マクロライド系抗菌薬の主な作用機序
マクロライド系抗菌薬は、細菌のリボソームの50Sサブユニットに結合し、ペプチド転移酵素の機能を阻害することで、タンパク質の合成を阻止します。タンパク質は、細菌の増殖や生存に不可欠なため、マクロライド系抗菌薬はこのようにして細菌を殺傷または増殖を抑制します。
マクロライド系抗菌薬の種類
マクロライド系抗菌薬は、ラクトン環の構造によって、14員環マクロライド、15員環マクロライド、16員環マクロライド、ケトライドの4種類に大別されます。
14員環マクロライド: エリスロマイシン、アジスロマイシン
15員環マクロライド: クラリスロマイシン、ロキタロマイシン
16員環マクロライド: テリタロマイシン
ケトライド: スピラマイシン
マクロライド系抗菌薬の適応
マクロライド系抗菌薬は、以下の感染症の治療に適応されています。
呼吸器感染症: 肺炎、気管支炎、咽頭炎、副鼻腔炎、マイコプラズマ肺炎
皮膚・軟部組織感染症: 蜂巣炎、丹毒、毛のう炎、ニキビ
中耳炎
性感染症: クラミジア感染症、淋病
その他: コレラ、百日咳、ライム病
マクロライド系抗菌薬の副作用
マクロライド系抗菌薬の主な副作用は、下痢、腹痛、嘔吐、悪心などです。これらの副作用は、多くの場合軽度で一時的なものです。まれに、偽性膜性大腸炎、肝機能障害、心電図異常などの重篤な副作用が現れることもあります。
マクロライド系抗菌薬の注意点
マクロライド系抗菌薬は、他の薬剤との相互作用を起こしやすいという点に注意が必要です。特に、ワルファリン、カルバマゼピン、テオフィリンなどの薬剤を服用している場合は、医師に相談する必要があります。
マクロライド系抗菌薬の服薬方法
マクロライド系抗菌薬は、医師の指示に従って服用する必要があります。通常は、食後に1日1～2回服用します。薬剤によっては、空腹時に服用する必要があるものもあります。
マクロライド系抗菌薬の保管方法
マクロライド系抗菌薬は、直射日光や湿気を避けて、室温で保管する必要があります。
マクロライド系抗菌薬に関する情報
マクロライド系抗菌薬に関する詳細情報は、以下のウェブサイトなどで入手することができます。
MSDマニュアル家庭版: https://www.mylan.co.jp/-/media/MylanJP/documents/epd_products/products/del_erythrocin_injection.pdf
KEGG: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/16-%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/%E6%8A%97%E8%8F%8C%E8%96%AC/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B3%BB
日本感染症学会: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/16-%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87/%E6%8A%97%E8%8F%8C%E8%96%AC/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B3%BB
その他
マクロライド系抗菌薬は、処方箋が必要な医薬品であることを忘れないでください。自己判断で服用することは絶対に避けてください。
何か質問があれば、医師または薬剤師に相談してください。