昔の猫のお仕事・犬のお仕事 | 犬と暮らせば~大家・ふくや招き猫が 頑固な柴犬&おおらかな大型犬と 心穏やかに暮らす方法

犬と暮らせば~大家・ふくや招き猫が 頑固な柴犬&おおらかな大型犬と 心穏やかに暮らす方法

ワンコは見た目より中身(犬種ごとの特徴)にご注目。悲鳴のような吠え方に、悪食・多飲・多尿の柴犬。ケンカにしか見えないプロレスごっこが大好きで、お薬大嫌いなボーダーコリー。縁あって、家へ来たからには、最後まで力を合わせて、生きて行こうね!
 

 
私の実家にいた猫たちには
立派な仕事があった。
 
ネズミ退治である。
 
 
 
 
私が小さい頃は、
母屋では猫を飼っていなかった。
 
同じ敷地の中にある伯母の家から、
祖母は、ときどき猫を連れてくると、
「ほい、行っといで」と声をかけ、
天井裏に上げてやっていた。
 
それでネズミがいなくなると言うのだ。
 
効果のほどは定かでなかったが、
確かに家でネズミを見かけたことはなかった。
 
私が高校生になった時、
猫たちも年を取ったり、病気になったりで、
ウチにも、叔母の家にも
一匹も猫がいなくなった。
 
いつ頃からか覚えはないが、
夜な夜な天井裏で、すごい音がし始めた。
 
ドドドドドドドドド、ガタガタガタガタ、
ダダダダダダ、ドン、バタン、カタカタカタ…
 
ネズミの大運動会の始まりだった。
 
毎晩、毎晩、断続的に
大音量の木の板を打つ音が
天井からふってくる。
 
家の隅のあちこちに
ネズミのフンも落ちている。
 
掃除をしても、あくる日には、
またパラパラと散らばっている。
 
掃いても、拭いてもきりがないのだ。
 
祖母が、ネズミにかぼちゃをかじられたとか、
壁に穴を開けられたとか言っている。
 
そんなことが、2年位は続いたろうか。                                                                                                                                                
 

 

私が高校3年生のとき、家の屋敷森に、

と言っても、実態は、少々手入れされただけの雑木林だが、

その端に子猫が捨てられていた。

 

それを家で飼い始めた。

 

白地に灰色のきれいな縞模様のとら猫だった。

 

男の子だったので、寅次郎と名付けた。

 

祖母が、オスの猫は、いずれ居なくなるよと

言っていたからである。

 

いつか放浪の旅に出るなら、

名前は寅次郎でいいよね、

そんな感じだった。

 

でも、この寅次郎は、

フーテンの寅さんとは違って

たいへんな働き者だった。

 

この子がちょっと大きくなってくると、

天井裏は物音一つしなくなった!

 

野菜や家がかじられることもなくなった。

 

もちろん、ネズミのフンなんて見当たらない。

 

食べたのか、追い出したのか分からないが、

とにかく、ネズミはいなくなったのだ!

 

猫は本当にネズミを退治していたんだ!と

この時はじめて納得した。

 

 

私が子供の頃は、こんな感じ⤴ の犬が多かった。

 

そして、犬と言えば番犬だった。

番をするのが仕事。

だから、どこの家の犬もよく吠えた。

 

ウチのまわりの年寄りが言うには、

「吠える犬が、いい犬」で

吠えない犬は、ダメな🐕と言われた。

 

今とは、大違いである。

 

 

私が生まれる前には、鶏と猫の他にも、

牛、豚、ヤギなど、家にはいろいろな生き物がいたそうだ。

 

もちろん、犬も。

 

いろいろ飼ってみて、

その当時の祖父の判断で

お金になるか、役に立つか、

しかも飼うのに、お金も手間も

少なくて済むものだけが残っているようだった。

 

「犬は、飼うのにお金がかかる」

祖父に言わせれば、こうだった。

 

犬の登録と狂犬病予防注射にはお金がいる。

エサもやらなければならない。

 

祖母は、猫は自分で餌を捕るからよいのだと

言っていた。

(まあ、田舎だからこそ、ですね。)

 

祖父にとって犬は、たぶん

働きに対して割に合わない動物だったのだ。

 

世間とは違って、犬が

吠えるのも嫌ったようだ。

 

「吠えるのは、かなわん」と言っていた。

 

昔、看板猫がいたとかいう話を聞くと、

お客に向かって吠える犬など

いない方がいいに違いない。

 

よその犬に出くわすと、祖母は

「手を出したら、だめだよ、かまれるよ。」

といつも言うし、

とにかく、犬というのは、

ほえるし、かむし、

近づいてはいけない動物だった。

 

飼い主のいうことはよく聞くが、

みんなに怖がられるほど吠えるのが、

犬の仕事だと、祖母は言っていた。

 

確かに、昔、近所で見た犬は、

そんな感じの犬が多かった。

 

人が、そういう犬が良いと思うから、

犬がそうなるのか、

もともと犬が、そうだから、人が使うのか。

 

 

獣医のK先生は、柴犬は番犬だという。

 

でも私は、ウチの柴次郎さんに

番犬の仕事を頼んだことはない。

 

果たして、ウチに来てよかったと

思っているだろうか。

 

 

 

         足あと  私は、お知らせするのが仕事です。 足あと
         足あと  何もないので、のんびりしてます。   足あと