2014.7.10 STVラジオ「今朝の一冊」
書名/おもかげ復元師の震災絵日記
著者/笹原留似子
出版/ポプラ社
価格/1,200円+税
1972年 北海道札幌市生れ。(42才)
現在、岩手県北上市にて復元納棺師として株式会社桜を経営。東日本大震災では、発生後まもなく沿岸地域に入り、津波や火災で大きな損傷を受けた遺体を生前の姿に戻す「復元ボランティア」に献身しました。
平成23(2011)年3月11日午後2時46分 東日本大震災発生。
あの時、私たちは、この日付を、この時間を、決して忘れるものかと誰もが心に刻みました。
私自身、地震発生の3日後の3月14日に福島へ出張の予定があり、現地スタッフとメールで何度も打ち合わせを繰り返していた時でした。札幌の事務所でパソコンの前に座っていた時、大震災発生。随分長い時間揺れ続くことにただならぬ不安を覚えたものです。
多分誰もがそうだったことでしょうが、あの瞬間、これほど大きな惨事となることは想像すらしなかったはずです。
著者である笹原さんは、大震災から9日後の3月20日、岩手県陸前高田市に立ち、ご遺体安置所を廻り300人以上の被災されたご遺体の復元に尽力しました。その時出会った、ひとりひとりを、決して忘れないとの決意から、スケッチブックに描いた絵と言葉をそのまま本にしたのがこの一冊です。
あの時は衝撃が強すぎて、しばらく正対できなかった。
まだ三年……、もう三年。
少しだけ見つめる勇気を、日本人として全員が持ったはずです。
忘れはしない。
逆に時間が過ぎるほど深くなる。
悲しくないわけがない。
ただ、それを飲み込むコツを身に付けただけ。
毎日毎日、安置所を何カ所も走り回って……。
親を、子供を、孫を、兄弟を……探しまわる親族。
どんな気持ちだったんだろう。
どんな哀しさだったんだろう。
もしかしたら、ってのぞみも、必死に抱いていたはずです。
波に飲まれる父親を救おうと……、その時、「来るな!」と娘に叫んだお父さん。安置所で再会した娘さんは泣き崩れました。
17歳の女の子に「守れなくてごめんな」とお父さんが泣いた。
「パパ、さよなら」と言う小さな娘さんに「サヨナラはさみし過ぎる……、またね、にしよう」とママが言った。「パパ……またね……」小さな娘さんの言葉に……みんなが泣いた。
町の人の命を守るため、最後まで消防団の鐘を鳴らし続けた。
「逃げろ!逃げろ!」鐘を鳴らし続けて叫んだ。町の英雄。
お母さんは、自慢の息子なんですと泣いた。
今なら正対できる心の準備ができたことと思います。お孫さんと一緒に、生かされていることの素晴らしさを、お子さんと一緒に親子の絆の深さを、ご夫婦で縁の導きを……、この一冊を通して話し合ってみて下さい。
逝った方、残された方、ひとり一人の別れを見つめ心に刻み、生かされていることに深く感謝し、亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈りしたいと思います。
中村信仁