願
自分が死ぬと、その知らせが日本へゆくな。
おふくろやおやじ、弟たちが、それを聞いてどんなに嘆くことか。
いま、死んでゆく自分にとって、そのことが一番辛い。
戦争は人間の作る最大の罪悪だなあ・・・
これは、いまから四十数年前、中国で戦死した、私の兄の最後のことばです。兄の戦友が、内緒でよこした手紙で分かりました。
私には兄がもう一人いて、やはり、ビルマの戦場で死にました。
二人の兄達は、弟の私に、いつも人間としての生き方や夢を語ってくれました。二人の亡き後、それはそのまま、私の<願>となりました。
願とは、自己中心的な欲望ではなくて、仏さまのよろこぶ生き方のことではないかと思います。
生きていてよかった 相田みつを著 角川文庫より
逝く者が遺される者たちの悲しみを感じる感性を日本人は当たり前にもっていた。人の痛みを我が痛みにできる人を立派な人なんだと思う。
相田みつをさんという人は、こういう経験の中から、幾編もの詩を生み出したんですね。
中村信仁