クリスマス・キャロル
ある年の十二月。
小学生のアヤちゃんが、一人でクリスマスツリーを飾っていた。
昔、父親に聞いたことがある。
「なぜ、ツリーを飾るの?」
「それはね、サンタクロースと連絡をとるためさ」
「どうやって?」
「このツリーがアンテナになっているのさ。
欲しいプレゼントを手紙にしてこの靴下の中へ入れておくんだよ」
そういって父親が、ツリーの飾りに使う小さな靴下を指差していた。
それから毎年アヤちゃんは、ツリーを飾り、靴下の中にサンタさんへの手紙を入れていた。
・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
クリスマスが近付いたある夜、ツリーでキラキラ輝く電球を眺めていたアヤちゃんに、
お父さんがつぶやいた。
「今年はサンタさん、来れないかもね」
「えっ? どうして」
アヤちゃんは泣きそうな目で父親を見つめた。
「うん、今年は他の子供たちの家を回るのに忙しいみたいだよ」
お父さんはそういうと、すっとアヤちゃんのもとを去っていってしまった。
アヤちゃんはとても悲しくなっていた。
今年はどうしてもサンタさんに来て欲しかった。
今年だけはどうしても・・・。
・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
子供たちが寝静まったある夜、お父さんはそっと靴下の中の手紙を取り出した。
毎年、それを読んでは希望しているプレゼントを準備するのだ。
でも、今年はどう頑張っても無理だった。
なぜなら、お父さんの仕事が大変で、
明日にもこの家を出て行かなければならないほどだったからだ。
誰よりもアヤちゃんの喜ぶ顔が大好きなお父さん。
でも、今回だけは我慢してもらうしかないと思った。
手紙を手にお父さんは椅子に腰をおろした。
そして、四つに折りたたまれた小さな手紙を開く。
見慣れた娘の可愛い文字だった。
色とりどりに飾られた手紙だった。
サンタクロース様
毎年、ありがとうございます。
今年は少しだけ違ったお願いを聞いて下さい。
今年のクリスマスに私は何もいりません。
そのかわり、お父さんに笑顔を戻してあげてください。
お父さんは、いつもニコニコしていました。
でも、お仕事が忙しくて笑わなくなってしまいました。
私はお父さんの笑顔が大好きです。
だからお父さんに笑顔をプレゼントしてください。
私は何もいりません。お願いします。
この手紙を読み終えてお父さんは愕然となりました。
いつの間にか、娘にまで心配をかけてしまっていたことに。
そしてお父さんは決心しました。
もう、くよくよすることをよそうと。
明日から、娘だけでなく、すべての人に笑顔で接しようと。
笑顔でいれば、きっとすべてが良くなるはずだと。
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