昨年の秋
合唱祭の伴奏オーディションに向けて
練習していた
ちゃん。

オーディションの2週間前くらいに
家での練習環境がキーボードの為
ピアノを3回くらい弾かないと音が出ない
とお母さんに打ち明けたそうです。
それからオーディションまでの間
週2日夜レッスン室のピアノを使って
練習することになりました。
本当に何事にも誠実に真面目に
取り組む子です。
オーディション当日も朝早く
少し離れたご実家に
アップライトピアノを弾きに行き
オーディションに臨みました。
気持ちをこめて弾けたから
悔いはない
そうオーディションの夜連絡を頂き
鳥肌が立ったのを覚えています。
結果は残念ながら通りませんでした。
神様はいないのか…と思いました。
それからです。
せっかく2週間生ピアノを弾いて
指に馴染みかけ
感覚が掴めてきたのに
これで練習をやめてしまったら
また戻ってしまう…
このまま継続して
練習を続けさせて欲しいと
申し出がありました。
私なりに時間帯のこと
環境、役割…色々考えて
お気遣い頂かないように
ちゃんとレンタル料をいただき
練習にうちのアップライトピアノを
活用して貰うことにしました。
あれから1年間
運動系の部活をしているので
朝練や夜練
きっと体はヘトヘトになりながらも
学校の宿題、塾勉
そしてそれがテスト前であっても
どんな時も意志を貫き通して
塾が終わってから夜10時過ぎ
レッスン室に寄り週3日30分間
グランドでのレッスン日を合わせると
週4日生ピアノに向かいました。
1年が経ち
合唱祭のオーディションの季節が
やってきました…
伴奏がしたい
絵描き続けてきた夢。
伴奏者の候補を募る際
クラスで手を挙げたのはまさかの

神様はちゃんと見て下さっていた…
一年間頑張り通した

決まった曲は
気の遠くなる程長い難しいものでした。
練習期間は僅かです…
この子ならやり切る!
という確信を持ちながらも
日にちの無さに心配も同居しました。
コツコツコツコツ。
「今週中に両手で通して弾けるようにして
来週スラスラ
弾けるようにするつもりです。」
芯の強さにただただ感心
いや…尊敬の念が湧きました。
発表会と時期が被っています。
伴奏曲に集中して
私は発表会の曲に不安を感じていました。
かける時間が足りない…
乱れてしまったリズムの確認と
機械的にならず色気が欲しいね〜
と告げました。
発表会前の最後のレッスン。
まずは発表会の曲を弾いて貰いました。
彼女なりに受け止め
向き合い色付いた演奏になっていました。
「どうやって色気つけたの?」
「がんばりました!
」

そして伴奏曲。
演奏を聴き、泣けました。
一体この子は何時間
週末にピアノに向かっていたんだろう
歌うことができ
力を抜くことができ
力強くオクターブを鳴らすことができ
滑らかにも
歯切れよくリズムを刻むところも
生きた音楽
心のこもったひた向きな演奏
一年前とは明らかな成長を感じました

「泣ける〜〜
」

の私の姿に
ちゃんは

「先生〜
」

と笑っていました。
私だけのものにしておくのは
勿体無いからと
駐車場にお待ちのお母様を
聴きに来て下さいと呼びに走りました。
レッスン後これまでのことを話し
心豊かないい時間が持てました。
本人の強い意志は勿論のこと
応援して下さるお家の方の
サポートがあってこそです。
辞めるのは簡単で
継続することの方がどれだけ難しいか。
でもやっぱり
継続こそ力なりです。
本当にすごい子です。
数年前、心がいっぱいになって
「疲れた…」
と声を震わせて打ち明けてきた
ちゃん。

色んなことを経験し
本当に強く逞しくなりました。
決して威張らず、謙虚。
合唱祭当日、勇姿を見に行きました。
姿を見つけて笑顔でペコリと
頭を下げてくれました。
夢叶う
です。

その日の夜もピアノを弾きに来ました。
労いの言葉を掛けにレッスン室に顔を出し
抱擁と共に
「良かったよ〜

頑張るね〜 今日もやるの?」
「ありがとうございます!
**ちゃんも良かったです!」

発表会と伴奏
同じ状況で頑張った
『涙のわけ 1 』に書いた後輩を労い
想う言葉でした。
この子は本当にスゴイ…
沢山学ばせて貰っています。
出逢いに感謝です
