今回は、北京五輪を題材に話をさせて下さい。


北京五輪のパシュート女子決勝、最終周の最終カーブで、高木菜那選手がバランスを崩して転倒、惜しくも銀メダルとなった日本。


高木菜那選手は、妹・美帆選手の疲れを察し、最後尾から押し上げていたようですが、不運とでもいうのでしょうか。


本当に残念…



そして、現地のある日本人カメラマン。



表彰式終了後、3選手に静かに声を掛けた。


すると、3人は目を真っ赤にして溢れる涙をこらえながら肩を組み、その姿を見たカメラマンはレンズを向けたまま、号泣してしまった。


この日に至るまでの1年と数カ月間、彼女らに帯同して多くの写真を撮ってきた。


大会や練習、合宿、選考会…


この舞台にたどり着くまで死にものぐるいで練習し、ギリギリの中で激走する彼女たちの姿を間近で見てきた。


その思いは言葉にならず、一緒に戦ってきた気持ちが涙となって溢れてしまった。


ファインダーをのぞけず、

「すみません」

と言うのがやっとだった。


すると、、

「いや、そっちが泣くのか〜」

と、3選手の涙顔が大笑いに変わり、



奇跡の泣き笑いの写真


「あの状況で笑わせるとは…」

「どうしたらあんな写真が撮れるの」


と現地で話題になったそうです。


仮に、このカメラマンが声を掛けて写真を撮らなかったら、菜那選手の転倒の瞬間や涙に暮れる写真ばかりだったでしょうね。


私たちには分からないギリギリの際を攻めながら、最後まで懸命に闘った選手たちもそれはつらかったはず。


この写真によって、オリンピックを支えているのはコーチやスタッフだけではなく、カメラマンとしての意地と言いますか「裏方魂」を見れたような気がします。



スポーツは常にドラマの連続です。


もちろんスポーツに限りませんが、目の前の「一瞬」は二度と訪れることはありません。


試合終了と同時に、歓喜する勝者と、ガクッと膝を折る敗者が、1枚の写真に収まることもあります。


なんとも言い難い場面です。



これは私ごとですが、、


子供の写真とかを見返すといつも思うのですが、お互いの心の距離が縮まれば縮まるほど、被写体も心を開いてくれて、レンズの前で、いい表情をしてくれたりするんですよね。


やはりそこはカメラマンの腕なのか(悲)



コロナが明ければ、皆さんも是非、旅の思い出や人の心を突き動かせるような写真を撮ってみてはいかがでしょうか。