甘いものが好きな人も嫌いな人も、一つは物語をお持ちのようで









プリンアラモードやシュークリーム、今川焼きなどについて書かれたエッセイ集。
特に印象に残った話は。
「孤独のグルメ」等グルメ漫画原作者、久住昌之さんの
「おはぎと兵隊」
久住さんのお母様の戦時中のお話。
予科練から戦地へ向かう兄に会うため、母の作った「おはぎ」を持ち、父と一緒に水戸の偕楽園へ。
兄と一緒に「おはぎ」を食べるのですが、、3人とも言葉は少なく。
胸が詰まって食べられない妹と父。
母の作った「大きなおはぎ」を、黙々と食べ続ける兄。
「あんな大きなおはぎを8個も9個も。仲間達にも食べさせてあげられるように、母はたくさん作ったけれど。別れた後も食べていたものだから、お兄さん、10個は食べたんじゃないかしら。」
きっとお兄さんは、、
「お腹が空いていた」のではなく
「心が空いていた」のではないかしら、、。
これから戦地へ行く。
家族と会える事はもう2度と無いかもしれない。
これが最後の母の味。
そんな心中で食べる「おはぎ」の味とは。
いくら食べても心は満たされる事は無かったのではないのかな、、。
その後、お兄さんは戦地から帰ってこられましたが
一緒に行った仲間は多数亡くなり。
晩年は、戦争の話しはしたがらず、結婚もせず、アル中になり、、。
甘い物に関する物語の中には「甘い幸せ」だけでは無い、こういう物語があったという事に気付かされたのでした。