8月23日     「管制塔」

 思い掛けず、管制官と機長の間のやりとりを聞く機会がありました。先日乗っ
たアメリカの航空会社の飛行機が、離陸時と着陸時のそれぞれ30分間、この
やりとりを機内放送のチャンネルで公開していたのです。これは搭乗機の機長
と管制官のやりとりだけでなく、その時間帯に飛んでいる全ての飛行機の機長
と管制官のやり取りが聞けるものでした。私はずっと聞き入ってしまったので
すが、ひとつひとつのやり取りはかなり短いもので、あんな誘導で離着陸が出
来るのか不思議に感じましたが、当然高度にコンピュータ化されたシステムが
主で、管制官の指示は副であるので、それでも足りるのでしょう。

 しかし驚いたのは、その夥しい通信の数、即ち同時間帯に付近を飛んでいる
飛行機の数です。卓球のダブルスのラリーのように、ひっきりなしに会話が飛
び交います。管制官の方は、流石に長時間は注意を集中できないのか、数分で
次々に交代していきます。成田空港の年間発着数は約20万回とのことですか
ら、毎日500回以上。稼働時間が15時間として、毎時30回以上になりま
す。管制官とのやり取りは、離陸と着陸は別系統になっているようでしたが、
そうすると着陸だけで毎時15回として、4分に1機の着陸を誘導することに
なります。ふむ。

 しかし考えてみると、着陸前で時速500キロぐらいに減速しているとして、
4分の差と云うのは30キロ以上の差。シロウト考えでは、それなら何とかな
るのかなぁ、とも思えます。しかし何よりも驚いたのは、そんなことよりも、
このような管制官とのやり取りを、無検閲でオープンに、リアル・タイムで聞
かせてくれたことです。しかも乗客は誰でも聞くことが出来ました。アメリカ
の、こう云う情報公開の文化は、異民族が多く同居する社会で、自己責任を取っ
ていくための素地となる条件なのだと推測しますが、こう云ういい点は、日本
などにももっと広まった方がいいと思ったのでした。