勝手に落とします。
案ーA
下げの前に、噺を大幅に、いじったケース(淡泊に)。
女房 -「痛い、痛い、痛い、
ああ、もう駄目だ、もう我慢ができない。
もう、これで、よしておくれ」
八 -「何だい、お前、途中でケツ割る気か ? 」
女房 - 「何、言ってるんだい。
ケツは生まれた時から・・・、割れてます」
案ーB
女房 -「何、言ってるんだい。
ケツは生まれた時から割れてるよ・・・、
って、えっ、何だろう、あの音は・・・?」
八 -「えっ、何だいどうした・・・?」
女房 -「ぺったん、ぺったん、ぺったんって、 うん・・・?
ああ、あれは、裏の屋根屋の太助さんの家からだ、
ほら・・・」
八 -「太助の家って・・・?」
女房 -「ほら、ぺったん、ぺったん、って、聞こえるだろう・・・、
あれは、もちをついている音だよ・・・」
八 -「えーっ、だって太助のうちは・・・」
女房 -「そうだよ、太助さんは、去年、屋根から落ちて
大怪我をしたんだよ。
それなのに、もちをつけるようになったとは・・・、
本当に頑張ったんだね」
八 -「いやいや、うちと同じで、かかあの尻を・・・」
女房 -「馬鹿、言ってんじゃないよ。
こら、八五郎、女房の尻を臼(うす)のかわりにしやがって、
この、うす情け、うすのろ、うすらトンカチ、
この、スローモーション ハンマー野郎」
八 -「えっえーって、何だい、そりゃあ・・・?」
女房 -「いいんだよ、昔の人には通じるんだから・・・、
あんたねえ、あの、太助さんが、どれだけ頑張ったと
思ってるんだい。
まだ、怪我も治ってないのに屋根に上がって、
本当に、感心なお人だよ。
稼ぐに追いつく貧乏なしって、お手本のようなものだ。
それに比べて、うちは・・・」
八 -「分かった、みなまで言うな、おれも一端の大工だ、
身を削ってでも、来年は本物の、もちをついてやる」
女房 -「本当かい、本物の臼でついておくれよ。
うす(嘘)つきじゃ、やだよ」
八 -「ああ、約束する。今日は、もちつく音が耳にしか入らねえが、
来年は必ず、口に入れてやる。
というか、今年もちょっとばかし戴いてくるか・・・」
女房 -「えっ、あんた、どこへ行くんだい・・・?」
八 -「太助の家まで・・・よ」
女房 -「えっ、太助さんところまで行って、どうするんだい?」
八 -「もちを分けてもらってくるよ」
女房 -「何、馬鹿なことを言ってるんだ、そんなことをしたらっ・・」
客 -「ごめんさいよお・・・」
女房 -「あら、だれか来たよ・・・」
八 -「えっ・・・、へーい、どなたさまで・・・?」
客 ー「へい、あっしです、太助です」
八 -「何だい、太助、どうしたんだい・・・?」
太助 -「面目ねえ、恥をしのんでお願いにきました・・・」
女房 -「何だい、太助さん、あらたまって・・・」
太助 -「へえ、少しだけでも、もち、を分けてもらえねえかと
思いやして・・・、はい」
八 -「えっ、だってお前のところから
もちつく音が聞こえていたじゃねえか・・・」
太助 -「ああ、あれは、見栄をはって、かかあの尻を叩いて、
近所に、もちをついているように思わせる
つくりごとでして、
でも、痛い、痛いって、すぐに、かかあが
ケツを割りやして・・・・」
八 -「えーっ、えーって、おまえもかい・・・」
女房
そんな、訳で、来年は、本当に、もちがつけるようになるのか、
はたして、どうなりますか・・・、
ここで、一句、
とんとんと、隣で、もちつく杵(きね)の音
耳に入れど、口に入らず
耳には入れど、口には入らず
古き良き時代の風物詩でございました。
ありがとうございます
話が前後しましたが、
落ちを変えた理由は、前の投稿で
説明させて頂いております。