こんにちは。

 

今日も、ショパン・コンクール優勝者のブルース・リウとダン・タイ・ソン氏による公開レッスンの和訳をお届けします。

 

 

前回の記事はこちらから読めます。

 

下差し

 

 

 

今日はこちらの動画の32:10から訳します。

 

 

 

エキエル版

 

 

さて、この(2回目に最初のテーマが現れる)セクションはとても興味深い。

 

1回目はとても平和に満ちていたから、あまりやれることはなかった。

 

でもここではもっと芸術的でクリエイティブな要素を加える、とても良いチャンスです。

 

なぜなら表情が1回目よりずっと広がるからです。

 

ですから私ならもっと自由に、自分がやりたいアイデアを入れますね。

 

まず、この嵐のセクション、あるいは「フロレスタン」のセクションが終わってすぐ、一つ目のテーマに戻りますが、感情的には最初とは違いますね。

 

先ほどは全てが美しかったし、夢見心地でした。

 

しかしここは、嵐を味わった後です。

 

まずここまではストレートに(前と同じに)音楽が進みますが・・・

 

(33:27)

 

ここで突然音楽が止まるのはなぜでしょう?

 

たぶん「フロレスタン・ショック」を経験したせいで、以前と同じ気持ちではなくなってしまった。

 

ですから、少し自信なさそうに、躊躇して、どの方向に行ったら良いのか分からないという風に弾いてください。

 

1回目の時のように、書いてある通りに弾くのではなく・・・

 

(34:12)

 

嵐はあったけどどんどん旅は続けますよ、というムードなら、ここで音楽が止まることはないでしょう。

 

そこに少し留まる感じが良いのではないですか?

 

それから・・・

 

(34:33)

 

どこに行くのか良く分からない・・・そこからこうなるのは、きっと、ヘ長調に満足できなかったんでしょう。

 

ヘ長調には行きたくなく、イ短調を選びました。

 

ヘ長調とイ短調の間でちょっと戸惑うのですが、イ短調に行きます。

 

ところで、この(和音の)弾き方ですが・・・

 

(35:15)

 

あなたはこれを2回とも同じように弾いていました。

 

ブルース: 装飾音についてですか?

 

 

同じように書かれている物を同じように弾いてはいけない。

 

ここは即興風ですから、1回目も2回目のような弾き方で弾くのは避けるべきです。

 

楽譜を見ると、1回目は絶対そう弾くようにとは書いてなく、(波線がカッコ内に入っているので、アルペジオ風に弾くのは)オプションです。

 

(36:04)

 

アルペジオの様に弾くよりは、この様に(一度に)。

 

ブルース:こういう弾き方はどうでしょうか?(36:17)1回目はこうで・・・2回目はこう。

 

テンポを変えるということ?

 

いやあ・・・ショパンは多くの場合、こんな風に・・・

 

(36:30)

 

(一つのフレーズを)2回目には即興的に変奏していきます。

 

だからこの個所も最初は何もしないでそのままで、装飾音を付けるだけ。

 

私はこういう風に弾きたい・・・

 

(37:16)

 

そして2回目が・・・

 

こうした方が2回目にもっと自由さが出ます。

 

 

ブルース:即興的なセクションというのはここの中間部からですか?

 

この2ページ全体ですね。

 

転調もしているので、多くの可能性が広がりますね。

 

さて、ここから新しい要素が入ります。

 

(38:13)

 

ここに向かっていきます。

 

ここの性格は特別で、少し疑っている感じがします。

 

(38:50)

 

そしてここに来るとリラックスする。

 

でもこの前の部分は少し悪魔的な要素も・・・

 

(39:13)

 

どこに行くのか分からないような感じを出したい。

 

これはあくまでも私の個人的なイマジネーションです。

 

もしこのアイデアが好きなら使ったら良いし、そうでなければそれも問題ないです。

 

でもショパン自身が新しいものをここに加えているわけです。

 

ブルース:ええ、ここの和音が(39:47)

 

 

そう、その和音、そしてこの動きです。

 

それから、もしこのフレーズがこの音域で弾かれたらあまり感じるものはない。

 

(38:58)

 

でもこの音域で弾いたら・・・

 

この音域の故にミステリアスになりますね。

 

ここですが、以前と同じようにペダルは使えません。

 

以前はレガートのために長くペダルを踏みました。

 

(40:18)

 

でもここは・・・

 

(40:23)

 

というわけで前とは違うので、私はペダルなしで弾きますね。

 

ここはペダルなしで・・・ここはペダルして 

 

同じように・・・

 

(40:45)

 

それで、またエキエル版の音・・・

 

パデレフスキー版はこうですが・・・

 

(40:58)

 

エキエル版は・・・

 

(41:03)

 

初めてエキエル版の音を聞いた時には皆が慣れてなくて、私もショックを受けましたが、だんだん慣れてきたというか、まあ悪くはないかな・・・

 

(41:32)

 

2回目になると・・・

 

(41:42)

 

ここですが・・・

 

(41:52)

 

もし楽譜を見ていないで、"presto, più mosso" (楽譜には"stretto, più mosso"と書いてありますが、ダンタイソンさんの言葉は"presto, più mosso" に聞こえます。)という指示を見ていなかったら、貴方の演奏は良かったのですが、"presto, più mosso" と書いてあるなら、もっと(クレッシェンドを)広げていった方が良いでしょう。

 

(42:13)

 

一気に。

 

そしてクレッシェンドを大きく広げるように。

 

多分ペダルは何度も変える必要がないはずです。

 

フォルテに行く時のクレッシェンドは上向きです。

 

良く気を付ければ、長い間踏んでも濁りません。

 

ペダルを長く踏めば、短く踏み換えるよりもっとずっと盛り上がるという効果があります。

 

(42:53)

 

突然お祝いの雰囲気になります。

 

勝利の時!

 

ですが、そのムードはすぐ終わります。

 

ところで、ここ(クライマックス)はつなげないで、休符は取るべきです。

 

(43:15)

 

そして、また前のムードに戻りますが、ここはしっかりムードを戻さないと。

 

2つの調が現れる・・・

 

(43:48)

 

ハ長調への転調はもっと興味をそそられるように弾かないと。

 

 

ピンク音符ブルー音符ピンク音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符

 

 

次回に続きます。

 

 

河村まなみ