前回に引き続き、ショパン・コンクール優勝者のブルース・リウとダン・タイ・ソン氏による公開レッスンの和訳をお届けします。
前回の記事はこちらから読めます。
今日はこちらの動画の19:05から訳します。
(19:05)
それでAにもどります。
ブルース: 質問ですが、ここではどの声部を聴いたら良いのでしょう?内声ですか?
(19:21)
この声部(バス)だと思います。
ブルース: 左手ですか?こちらは?
それもそうですが・・・やはりバスでしょうね。
皆Fに向かっていますが、一番はっきりしているのはバスですから。
それから、ここ・・・
(20:32)
とても素敵でした。
ブルース: ここも質問があります。このフレーズはここまで続けて良いでしょうか?そう弾いたのですが、それで良いのか分かりませんでした。スコアではフレーズがこちらで終わるように書いてあるのですが。それに沿うなら、ここで落ちないと(ディミニュエンド)
私は落ちていく方(ディミニュエンド)を好みます。
ここは人に「さよなら」と言っているような箇所だから、自然にフレーズが終わるはず。
ブルース: 私がこうしたのは、次にもっと小さく弾くためのスーペースを残しておきたかったから。それだけのためだったんです。
そうですね、2回目のフレーズは1回目より小さくしたいからね。
(21:41)
(2回目は)違う声部を出したらどうですか?
確かに長いディミニュエンドですからね。
違う声部を出すようにすれば良いでしょう。
このパターンはあまりできることがない。
だから違う声部を出すのが良いでしょうね。
(21:07)
これを出しても何も起こらないからつまらない。
だからいろいろな声部を出して、可能性を作ります。
奇妙なのは、2つ目のテーマはこれとは対照的で、もっと単純です。
でも、あなたの弾き方は、ひとつ目のテーマは良かったが、二つ目のテーマはちょっと筋肉を使い過ぎでしたよ。
大きな音でエネルギッシュに弾いたけど、悪魔的ではなかった。
風が吹き荒れるようではなかった。
なぜか分かりますか?
ただ筋肉だけ使って弾いたから。
パワーはあったけど・・・
(23:15)
こういうのはなかった。
それから、フォルティッシモといえども、ショパンには常にメロディーがあります。
でもあなたはとても単純に弾いた。
大きい音でエネルギッシュだけど、何も語っていない。
もっとメロディーが必要です。
それから、ここはエディションの問題がありますね。
ショパンを勉強する時は2つのエディションを比較します。
ポーランドのパデレフスキー版と、最近のエキエル氏によるナショナル・エディション。
エキエル版は両手ともディミヌエンドだけど、パデレフスキー版は右手がディミヌエンドで、左手がクレッシェンドになっています。
私の好みとしては左手は朗読だと思います。
ですからもっとメロディーとして弾くべきです。
その方が両手ともディミヌエンドより面白い。
左手がディミヌエンドなのは面白くない。
ですから、是非もう一度自分がどのように音を作るか考えて下さい。
私達は違う響きを作るために指を使うにしても、腕を使うにしても、こういう弾き方は「筋肉弾き」の一種だと思います。
でも、性格付けがされて、更に熱情が加わると、そういう弾き方にはならないはずです。
それは息づかいから、呼吸から来ます。
そうするともっと緊張感も加わるはずです。
こういう弾き方では緊張感を感じない。
次に、このセクションの構造ですが・・・
(26:16)
2回目の方が若干高くなりますね。
そして3回目はフレーズが長くなる。
左手のフレーズから右手のフレーズに音楽は続いていきます。
(26:45)
ここは息継ぎも必要です。
そして右手は2回目は1回目よりもっと高くなる。
そしてさらに高くなり・・・
弾いてみましょう。
弾き方、息づかいに気をつけて。
ブルース(27:39)
そうですね。
私はここは小さくないと思います。
どちらかと言えば大きく、一つ一つの音をしっかりと。
私はこの二つの音は話しているような感じだ思います。
ブルース(28:41)
左手は良くなってきているけど、ここはもっと一つ一つをクリアにはっきり弾いてほしい。
ブルース(29:03)
ブルース: ああ、ぼくは上の音を聞いていました。だからですね。
(29:3)
というより、こんな風に・・・
この繰り返されている部分・・・
今テクニックの話をしています。
1音目と2音目はどちらが大きい?
1音目をサポートに使って・・・
バランスを保って・・・
特にここ・・・
2音目も出して
ブルース(30:38)
そう。それから、左手のこのラインも出して。
そして2回目は1回目より出して。
そうですね、でも、ここからどこを聞いて良いのか分からなくなった。
(31:29)
これもメロディーとしてとらえましょう。
急にここから右手が大きくなって、左手を忘れてしまい、フレーズが完結しなかった。
ブルース(31:40)
そう、まずは左手を終わらせて。
その上で右手のこれも出すなら良いですが、左手の訴えかけは終わらせないと。
その後は良かったです。
次回に続きます。