ショパン・コンクールで反田さんと小林さんの入賞という快挙は、本当に嬉しいニュースでした!

 

 

おめでとうございます!

 

 

ところで、私はダン・ダイ・ソンさんの先生としての資質に注目しました。

 

 

彼は1位のブルース・リウさんと、6位のJJジュン・リ・ブイさんの二人の先生です。

 

 

この二人を聞いていて、若いピアニストが自分一人ではなかなか得られないアイデアやインスピレーションを随所に聞き、どんなふうに教えを受けているのか、ずっと気になっていました。

 

 

今日、こんな動画を発見しました。

 

 

 

 

 

コモ湖ピアノ・フェスティバルの公開レッスンの動画で、ダン・タイ・ソン先生が1位のブルースさんを教えている動画です。

 

 

ショパンのバラード2番です。

 

 

ブルースさんが第2ステージで弾いていました。

 

 

ダン・タイ・ソンさんのお話はマスクなどで聞きにくく、一部聞き取れませんが、できるだけ訳してみました。

 

ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符

 

 


7:53 じゃあ今日は英語で話しましょう、新しい事だけどね。

私はあなたの演奏のたくさんの部分が好きでしたよ。

 

特に、この曲は2つの対照的なテーマがあり、最初のテーマはとてもチャーミングで、あなたはそれをとても良く弾けました。

 

多くの生徒がフレーズを切れ切れに弾くけど、あなたはフレーズ、ライン、メロディーを長くつなげて、とても自然なナレーションのように弾いていました。

 

次に、音とムードがとても良かった。

 

 


曲について話しましょう。

ショパンは4つのバラードを書きました。

このバラードは他の3つに比べて、構造がシンプルで、小規模で、込み入っていません。

他のバラードは自由でナレーションのような部分が結構あるけど、これはコンパクトにまとまっていて、それが簡単である一方で難しい要素になります。

ですから、それぞれのテーマを弾くのに、最上級の(哲学的、学術的に)洗練されたもの、細部に至るまでの注意が必要になります。

同じ事の平坦な繰り返しにならないように気をつけなければなりません。

どのような物語、登場人物を考えるべきでしょうか?

ショパンはこのバラードを書いた時にマヨルカ島に行っていました。

スペインの島ですね。

ショパンは健康に問題があって、寒い所を避けるためにパリを離れる必要がありました。

ジョルジュ・サンドが彼を招いたのです。

そこは冬は温かく、彼にとって良い旅行になるはずでした。

でも、結局は悪い方に転じてしまった。

なぜなら、その年はマヨルカでも雪が降ってしまったのです。

それで彼はずっと修道院の中にいる事になりました。

電気や暖房などなく、最低限の設備しかなかったし、食事もてんきもひどく、全ての状況が最悪だったため、彼の健康状態はさらに悪化してしまいました。

ですから、この曲の最初の部分は心に描いていた夢、次の部分は現実を表しています。

もう一つの興味深い事は、ショパンがこの曲をロベルト・シューマンに献呈している事です。

シューマンの曲には度々、オイセビウスとフロレスタンという2人の架空の人物が出てきますね。

この曲にもこのような二人の人物が登場する、と言うこともできるかもしれません。

ショパンがわざとそう作曲したのかは、不明ですが・・・


それでここを分析すると・・・

(13:37)

ヘ長調からイ短調、そこには調性の関係はありません。

ヘ長調からならニ短調、つまり平行調に行くなら分かりますが、イ短調で終わる。

そこには何か意味があるのではないかと思います。

というわけで、最初のテーマは天国のような、平和に満ちた理想の場所で、2つめのテーマは悪魔的です。

天国と地獄・・・

天国の部分を弾くときは夢見るように、そして現実離れしているように、もう一つのセクションは現実の厳しさに直面するように。

始めのセクションは、ただ素敵に弾いて、フレーズを上手にまとめたのでは足りなくて、もっと夢見るような高い所にある音楽です。

あなたの初め方は好きでした。

(15:19)

リズムが静かさと平安を醸し出していた。

弾き始めからムードも雰囲気も醸し出されていたし、インスパイアリング(自分が得たインスピレーションを感じて弾いていた)だったのと同時に、正確に弾いていました。

でもいつもここが同じように終わっていたのはなぜ?

(15:58)

毎回同じ弾き方で弾くのは良くない。

一度だけなら良いけど、3度も4度もここで時間を取り過ぎていますね。

ブルース:同じ事を何度もやり過ぎという事ですね?

回数ではなくて、ここで上り詰めて・・・

ブルース:フレージングし過ぎという事ですか?

そうとも言いますが、程度の問題です。

上昇の、クレッシェンド(の行き着く所)が

(15:53)

ヘ長調とイ短調の対比のあるここ(クライマックス)だと思うのです。

でも初めからではない。

初めは平和に満ちたムードで、まだ何も起こっていないから何もしない。

そして、初めてイ短調が出て来るのはここではなくて・・・

(17:35)

もうすでにここに現れますね。

最初のセクションの中にA B Aに近い形式が見えます。

ですから計画を立てます。

ここまでは何の兆候もない、平和に満ちたは状態、次のセクションの予兆のような雰囲気を、わずかですが、表現する必要があります。

(18:35)

そして元に戻りますね。

 

ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符


次回に続きます。

 

 

河村まなみ