南カリフォルニア大学の【音楽で子供の脳構造が変わる】という調査結果を、日本語訳をつけてご紹介します。

 

今日で4回目になりますが、こちらは前回の《実行機能の変化》についての記事です。

 

下差し

 

 

今日は、こちらの動画の6:00〜8:53を訳します。主な話題は《脳梁の変化》についてです。

 

下差し

 

 

Q:今回5年目になるわけですが、更に目立った違いはありましたか?

 

A:はい。現在私達は4年目の実験結果を分析し発表する準備を進めている段階なのですが、4年目と3年目のデータを比べると、左右の脳の連絡網機能(訳注:脳梁)は4年目にはグループ間の差が更に開いているのが分かりました。

 

また、4年目に発表した結果の中で特筆すべきは、音楽グループの社会適応能力、特に共感や思いやりの気持ちが高く、他人の気持ちを理解して同じ気持ちになれる能力が高かったことだと思います。

 

この能力は音楽的能力から一歩離れていますが、グループで音楽を演奏する時に自分を制して周囲の音を聞き、また指揮者に注意を払い、その指示に従うなどの行動が原因だと思います。

 

それは意思決定能力や将来を考える計画性といった、人生で大事な能力までも養っているということだと思います。

 


 

Q:では、音楽グループは他のグループの子供達より優っていたのですか、あるいは同じような結果はあったのでしょうか?

 

A:スポーツのグループも、いくつかの課題においては音楽グループと同じくらいの成績を出しました。

 

認知機能や社会適応能力についてはそのような傾向がありました。

 

音楽グループと何もトレーニングをしなかった2番目の比較グループとの差は大きかったです。

 

多分この差の原因は、音楽グループでは友達と一緒に楽しく活動し、人から注目されるという経験ができるからではないかと思います。

 

この研究のゴールは音楽がスポーツより優れているということではなく、両方とも有意義だと思いますが、音楽トレーニングで受けられる恩恵というのは確かにあり、特に、左右の大脳半球の連絡機能の優位性は音楽の子供達に見られ、スポーツの子供達にはあまり見られないものです。

 

Q:なぜそのような現象が起こるのだと思いますか?

 

A左右の大脳半球の連絡機能の優位性について考えると、たとえばバイオリンを演奏する時には両手を使うので、それが両方の大脳半球を刺激することになるわけです。

 

音を作り出す時には(左手の)指先で高度な微調整を施しながら指板の上で指を動かしますが、同時に(右手が)弓の動きやスピードを調節します。

 

このように両手の動きが両方の大脳半球を活性化し、更には大脳半球間の連絡能力が高くなるという結果を生み出していると考えられます。

 

このような結果は、大人の音楽家を対象にしたいくつかの研究でも得られています。


 

 

Q:大人になってから習ってもその結果は出ますか、それとも子供の時から習うべきですか?

 

A:一般的には小児期に習うことで得られ安いと考えられます。また、どれだけ早く習い始めたか、またどれだけ長く習っているかが影響すると考えられています。


(次回に続きます。)

 

 

ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符

 

 

解説です。

 

「左右の大脳半球の連絡網機能」は「脳梁(のうりょう)」という部位です。

 

脳を上から見ると、ピンク色の部分。

 

 

 

横から見ると、ピンク色の部分です。

 

 

 

左右の大脳半球の橋として、両方の大脳半球の情報の行き来を司る部分です。

 

 

 

河村まなみ