2020MTNA(Music Teachers National Association)全米コンファレンスにて、インディアナ大学ピアノ科教授、David Carledge と Gregory Sioles が、オーディションについて、目的、選曲、その他の注意点などを対談形式でシェアされたものを日本語に訳しました。
オーディションの成功と奨学金獲得のために参考にして下さい。
🎶🎶『教授達が語る実技対策【1曲目、選曲】』の続き 🎶🎶
C: かなりの学校がバッハ平均律を課題曲にしていますが、オーディション向きの曲、避けた方が良い曲はありますか?
S: 第1巻のト短調は避けた方が良いでしょうね。遅いテンポで、大変美しい曲で、多くの受験生が好みますが、あまり良い選択だとは思いません。
C: あのプレリュードは平坦になりがちで時間がかかるので、その受験生の別の可能性を見せられないままに多くの時間が経過してしまいますね。
S: また、ある程度大人の感覚が必要だと思います。高校生の場合には深すぎる部分がある。そのような曲を早くから習う事は良い事ですが、その人の最善を見せるべきオーディションに適しているかは別問題です。
C: 他には?
S: 第2巻の方が難易度は高くなりますが、できるなら是非チャレンジして欲しいですね。
C: 第1巻の1番は?
S: 避けますね。特にプレリュードはあまり見せられるものがありません。
C: プレリュードとフーガの両方で受験生の良さを見せられる曲を選ぶようにして欲しいですね。
C: ハイドンのソナタはいかがでしょうか?
S: 後半のソナタの方が良いですね。緩徐楽章がしっかりしているソナタを勧めます。
C: だからと言って最後の6曲でなければならない、という事ではありませんね。
S: そうですね。ハイドンのあまり知られていないソナタを聞くのは面白いです。
C: モーツァルトのソナタはいかがですか?
S: 皆怖がっているのではないですか?(笑)私には怖いですね。
C: 私は大学院、修士課程の受験に最後の「ニ長調のソナタ」を弾きました。上手くいきましたが、オーディション向けではないと今は思います。最初の一音から演奏者の全てが見えてしまう、隠す術がない、何か事故があったら全て分かってしまう。対位法的なセクションに来て、もしちょっとでも狂ったら全てが崩壊してしまう。リサイタル用には素晴らしいですが、オーディションには危険度が高いです。
他にモーツァルトのソナタで落とし穴は?
S: 至る所に落とし穴がありますよね(笑)でもモーツァルトを弾くなら、声部間のバランス、自分の音を聞く力、フレーズを歌わせる力、などが見せられますね。
C: 「K. 332, 333, 457」などは良いですね。
C: ベートーベンのソナタはいかがですか?
S: 高校生には最後の5つはちょっと難しいと思います。大学院受験向きでしょう。
C: 「作品109」 は?
S: ああ、皆好きですよねえ。テクニック的には弾けるのでしょうが、高校生にはなかなかその境地にたどり着くのは難しい曲ですね。
C: 「作品31」などの方が、「作品90」以後より高校生には理解しやすいのでは?
「テンペスト」を聞き疲れるということはないですね。
S: 「テンペスト」はその受験生の音楽性を良く表すと思います。
「告別」はどうですか?
C: 時々上手な演奏を聞きますが、危険過ぎる曲だと思います。まず遅いイントロのセクションが結構長い。そしてアレグロに入ってすぐ危険な箇所がやってくる!(笑)もちろん止めずに聞き続けますが、そこが弾けないならなぜその曲を選ぶ必要があるのか、という事です。
S: 「悲壮」や「月光」はいかがですか?
C: 「テンペスト」に比べて、私はあまり良い選択肢だとは思いません。生誕250周年のベートーベンに敬意を払わないわけではないですが、どちらも第1楽章が聞き疲れますね。素晴らしい演奏にはお金を払っても聞きたいと思いますが。
それから、「作品2−1」も避けますね。「作品2−2、2ー3」は高校生には良い選択肢だと思います。
「作品49、79」も避けます。「作品14」を受け付けない学校もありますね。
S: 私は「作品14−2」は良いと思います。様々な側面を見せられます。
ではロマン派について話していきましょうか。
🎶🎶 続きは『教授達が語る実技対策【ロマン派の選曲】』をご覧下さい 🎶🎶
奨学金獲得、増額の方法、実例などは以前のブログをご覧ください。