著者曰く、昨日紹介した「スター」を「白版」
毒の強い本作品を「黒版」と言うくらい、対
をなしています。
パラリンピックも終わり、「多様性社会」「
共生社会」と言われる中で、よくもこれだけ
の作品を世に出すことができるな、と言うの
が最初の感想です。
確かに多様性を認め合う時代と言われて久し
いです。しかしその「多様性」には多くの人
が理解できる範囲の「多様さ」でしかないの
です。
理解できない範囲の「多様さ」に分類されて
しまうと、それは「特異さ」になり、「フェ
チ」「キモい嗜好」などと、一気にネガティ
ブな印象をまといます。
本来ならそれらも多様性の一つでもあるにも
かかわらず、他者から理解を得ることも出来
ず、ひっそりと社会の片隅で生活することに
なります。
そうなのです。多様性を認め合うというのは
は、マジョリティ側の都合の良い言葉でしか
ないのです。
本当に多様であるマイノリティを知って理解
することは不可能に近いのです。
この本では、そんな「多様性の時代」の欺瞞
を暴いてしまいます。
多様性とは都合よく使える美しい言葉ではな
い。自分の想像力の限界を突き付けられ、時
には吐き気を催し、時には目を背けたくなる
ほど自分にとって都合の悪いものが、すぐ側
で呼吸をしていることを思い知らされる言葉
のはずだ、と。
「皆、お互い分かり合えたら戦争なんて起こ
らないよなあ」と本気で思ってしまうほどの
納得感一杯の一冊です。
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