長いことジャンル自体が落ちぶれかけていた海賊映画。
そのジャンルを蘇らせた「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ、
全3作のうちの最後の作品が、今回観たワールド・エンドである。

しかし、この作品は正直1作目が最高だった。
1作目で海賊物語に感動し、2作目、3作目を心待ちにしていたが、
話の「分かりやすさ」がどんどんと薄れていった。

1作目では確かに、海賊たちの冒険ロマン、人間ドラマ、そしてスパイスとして効いているギャグなどが、
自然と心と頭に入ってきたのだ。

2作目、3作目と、なんだかそのテンポが違うことに気づく。
監督が1作目と2~3作目で違くて作風が変わったのかもしれないが、
観る方にとっては関係のないこと。

登場する人物・世界観は1作目を観た者の記憶に残っている。
それをうまく踏襲できていなかったのではないだろうか?

「分かりにくさ」をもう少し説明すると、
話のテンポが早くて、主要な登場人物が皆簡単に本音を見せず、
物語の節目節目で急に手のひらを返した行動をとる。特に詳細な説明もなく。
あっけに取られている間にストーリーは勝手に大海原に向かって進んでいく。

見終わった後は、「あ。一応終わったんだ。」というポカーンとした気持ちで、
ジャック同様なのか、自分1人海のど真ん中に放り出された気分になる。

これが監督の狙いだったのなら、
これも1つの海洋ドラマの終わり方?なのだろうか…。
(上記の表現は皮肉って言っただけなのでまさかそれはないと思うが)

もちろん見るべきところもある。
バルボッサの親分っぷり、ウィル・ターナーとエリザベスのタイタニック的な愛、
相変わらずおちゃらけているジャック等、登場人物は魅力的。
海の真ん中の大渦に飲まれながら2つの大きな船の上で戦う海賊たちのシーンや
世界観などのグラフィック面は、お金をかけた感じが多いに出ている。迫力はある。

全3作で終わってしまったが、
これだけいる魅力的なキャラクラー1人1人に的を絞って、
外伝的な話を書いても面白かったかもしれないと思った。

2~3作目を気持ちよく消化したいため、またいづれ観たいと思う。(TV放映時にでも)

ちなみに、DVD版は最後の最後、エンドロール後に真の結末があるらしいが、
自分はそれを見逃しDVDを返却してしまった…。
そこも気になるところである。