読みました!

日本に限らず、世界各国で財政政策、金融政策のあり方が変わりつつあること、また、日本が抱える巨額の政府債務や、長期にわたる低金利政策の問題をどのように解決していくのかという問題に対峙し、財政・金融政策の意義を解説するとともに、日本経済を持続的に成長させていく方策の一つとして”高圧経済”論を紹介している書。
 
はじめに著者は、日本の財政に対する悲観論、楽観論の例を挙げ、それぞれの議論がどのような前提のもとになされているのかを説明します。そのうえで現代においては、国および国の機関の財政を合算した「統合政府」の考え方が実態に近いものとし、その統合政府の財政状態は悲観論者の指摘ほどには悪くない(負債に対する資産を保有していることなど)ものの、現時点の統合政府の純資産はマイナスであり、民間会社の貸借対照表でいう債務超過の状態であると述べています。ここで、国債などの公債を発行した際の、国内経済に与える影響について説明さがれていますが、これまでちゃんと経済を学んでこなかった私にとっては難解で、改めて読み込む必要がありそうです。
 
他にも、新書にも関わらず多くの論点や解説がなされており、日本経済の立ち位置とこれからのあるべき姿を考える上では多くの示唆が得られる本であると思います。特に、景気後退期に入った2000年代前後から今日まで、どのような財政・金融政策が取られてきたかを解説した部分はとてもわかりやすかったです。当然のことではありますが、経済政策の決定には政治的要素が大きく関わってくることも改めて感じました。後半で述べられている高圧経済論にも、会社経営を行う立場としては非常に興味がある内容でしたが、ここで感想を紹介できるほどには理解できていないので、内容の紹介はご容赦ください・・・。
 
いわゆる「マイナス金利政策」が終了し、他の先進国と同様に日本も、今後政策金利を引き上げていく局面になる可能性があります。今後ますます、我が国の財政・金融政策の動きが、私たちが生活している国内経済に大きな影響を与えます。仕事がら私は、個々の経済施策、金融施策に関心が向かいがちですが、マクロ経済にも関心を払うことで、より正しい経営意思決定に近づけるのではないかと思います。まだまだ覚えなければならないことが多いなあと感じる一冊でした。