『事実に基づいた経営―なぜ「当たり前」ができないのか?』(ジェフリーフェファー)の感想(16レビュー) - ブクログ (booklog.jp)

読みました!

 

経営者が誤った判断を下すとき、根拠のない理屈や合理性のない「半分だけ正しく、半分は誤っている常識」になぜ引きずられてしまうのか、また「事実に基づいた経営」をどのように実践していくのかについて、事例を交えながら様々な角度から述べられています。

 

経営意思決定においては、世間で言われている常識や理屈が必ずしも、自社に適用できるとは限りません。ある企業でうまくいった手法が、自社でも通用するとなぜ言えるのか、本書ではその複雑な事情を考察しています。

企業がなぜ、その手法を使って成功したのかは、その企業の歩みや業界、地域の背景、従業員の構成といった無数の要素から成り立っています。それら事実の積み重ねを冷静に読み解き、自社にも適用できるものなのかどうかを考え、時には自分たちには使えないものと判断することも必要です。定期的に表れる「新しい」理論や手法のほとんどは「古い」理論や手法の焼き直しにないと筆者は言います。古い理論が消えずに、今まで生きているのは、それがより「正しい」ものだからだと。

 

企業の変革に関する章は、私が最も興味を持った部分です。「企業は変わり続けなければならない」とは、よくいわれることです。これはもっともな意見ですが、変わりさえすればうまくいくのか、といえば、そんなことはないはずです。変革するにも、様々な角度から変化へ進む意思決定をする必要があり、いま流行っているから、などという安易な理由で変革を進めれば、失敗するのは目に見えています。

ただし、変革し続ける姿勢は必要です。組織のリーダーにあっては、メンバーに対してより成熟、完成していることが求められる風潮がありますが、組織を成長させるには、リーダーこそが未完成で成長途上にあるという認識が必要であるとのくだりには膝を打ちました。中小企業においては、ニッチな分野でナンバーワンとなる戦略が有効と言われます。成長し続けるためには、ナンバーワンとなったあとにどうふるまうかが、問われるのだということを再認識しました。