06:Cambodia - 山アリ谷アリ
朝7時、シェムリアップ行きのバスが停まるキャピトルオフィス前に向かった。
思ったとおり、ものすごい人、人、人だった。
まだ出発まで時間あるし、朝ごはんでも食べよーっと。
それと飲み物も欲しいな、酔いやすいからな。6時間かかるみたいだし。
近くにあった屋台で、ハンバーガーを買った。
それから「緑茶」と漢字で書かれているペットボトルも、買った。
ハンバーガーをひとくち。
…うわ……まっず……
食べられるものは全て美味しいと思えるこの私が不味いと言うのだから相当です。
半分くらい捨てて、バスに乗車。
まじ不味い…口直し口直し…
緑茶をひとくち。
…うわ……あっま……
なんでか「緑茶」に、砂糖が入っているらしい。
こっちの人味覚おかしいんじゃないの!?緑茶はteaじゃねぇーーーーーーっ!!!!!
ちょっとふてくされて、出発時間を待った。
私の席は通路側だった。あーあ、窓側が良かった。ほんとついてない。
程なくしてバスは発車。
…と、同時に、いきなり大音量でラジオが流れ出す。
現地の人が多いのか、バス内は大爆笑の渦。
なに!?お笑い番組!?分っかんないし、うるさいーーーーー!!!!!
そしてその大音量に加え、私の隣の席の男が誰よりも大声で笑うため、うるさかった。
しかも「なんでコイツ笑わねぇんだ!?」ってな目でこっちをチラチラ見てくる。
不快だ!ほんっと朝から不快だ!!!!!!
こちらも意地になって、i-podの音量MAXにして耐えた。
しばらくしてバスは停車。
なに?
草原の中の一本道。見渡す限り原っぱですけど??
そう思っていると、皆ぞくぞくとバスを降り始めた。
ガイドさんが、「トイレ休憩です!」と声を上げている。
は?トイレ?どこ??
ぎょっ
数名いた欧米人が、「Oh My Got…」と呆れていた。
してますしてます。
皆さん用を足しています。
うわ、オイ、女はせめてもっとバスから離れてくれ、草むらでしろ。見えてるってうわ、うわーー……
とは言っても、非常識なのはこっちである。
目をつぶって極力見ないようにした。
皆がぞろぞろ戻ってきて(拭いたか!?なぁ、ちゃんと拭いたのか!?)、バスは再出発。
私は、そのトイレ事情を目の当たりにして、緑茶を封印した。
ぜったい、ぜったいにこの6時間は尿意を我慢するんだ。
日本人としての尊厳は守りきるぞ…!
バスはその後、2度のエンストとトイレ休憩をして、ようやく…
シェムリアップ到着!!!!
ぅおおっと興奮する間もなく
バンッ
とバスの窓に何かが叩きつけられた。
『Welcome to ***** Gest House!!!』
そう書かれたダンボール紙を持った勧誘の人たちの群れに、バスは囲まれていた。
意を決してバスを降りたが…
一瞬、まさに一瞬。
十数名の勧誘者に囲まれてしまっていた。
最初は普通に断っていたのだが、数は減るどころかどんどん増える。
ラチがあかない。
暑苦しい。
身動きとれない。
イライラMAX。
……日本人ナメんじゃねぇーーーーーー!!!!!!
ブチ切れて走り出した。
絶対におもしろい光景だったに違いない。
サムライソウルを見せ付けて、随分撒いたが、3人ほどまだ付いてきていた。
こいつら…ベスト・オブ・しつこい。もう賞賛モノ。
GHの勧誘じゃない、普通のバイタクを探した。
マトモそうな奴が全然いないじゃないか!どうなってんだ!?
そんな時、
「1dollar,1dollar…」という気弱そうな声が耳に入った。
ぱっと振り向くと、その「1dollar」の奴は、普通のバイタクっぽかった。
しかも、一番しつこく付きまとって来た奴に「あっち行け」と邪険にされていた。
決めた!
私はその「1dollar」に声をかけた。
「本当に1ドルでいいんだね!?チェンラーGHまで、お願い!」
「OK」
とだけ言ったその「1dollar」は、バイタクじゃなく、トゥクトゥクの運転手だった。
トゥクトゥクはカンボジア特有の乗り物で、バイクで引っ張る馬車みたいなものだ。
普通、料金はバイタクより高い。
乗ってみたいと思っていたし、ラッキーだった。
颯爽と走り出し、その場をあとにする。
しつこかった奴の舌打ちが聞こえた。
ふん、しつこい男は日本人女性にはウケが悪いんだよ、と心の中で悪態をついておいた。
「1dollar」はあっさりと、チェンラーまで連れて行ってくれた。
ほっと一安心だ。
(余談だが、私は初めからシェムリアップでは、チェンラーに泊まると決めていた。
そいうのも、私がとても影響を受けた女性バックパッカーのサイトに、このGHのことが書かれていたからだ。
単純に、泊まってみたいと思っていたのだ。)
チェックインの前に、「1dollar」が話を持ちかけてきた。
"3日間専属ドライバー契約"の話だ。
明日から3日間遺跡見学に費やすつもりだったこちらとしても、願ったりな話だった。
遺跡と遺跡の間が徒歩不可能なほど離れているアンコール郡では、専属のアシが必要だった。
しかも、オイシイ話も聞いた。
明日からの遺跡入場3日間パス・チケットは、今日夕方5時から買うことができるらしい!
そして、そのチケットを買えば、なんと今日も入場可能らしい、と!!
それって、ラッキーじゃん!?
しかもしかも、"3日間専属ドライバー契約"+今日これからの時間も専属でOKだと言う。
それって、超ラッキーじゃん!!?
その話に乗り、さっそく値段交渉。
「1dollar」は、85ドル、と言ってきた。
実はまぁ、その値段でも別に良かったんだけど、値段交渉も旅の醍醐味。
ちょっとネコかぶって、おねだりしてみた。
おにーさん、お願い!もーひとこえ!わぉ素敵!それじゃーもうひとこえ!
交渉成立。65ドルです。やった^^
チェンラーにもチェックイン。
窓が多くて、ベッドがふたつ。そして広い。これで15ドル。
4日間泊まることにした。
おっけー、順調なんじゃないの!?
さっそくトゥクトゥクに乗り込み、シェムリアップの街を走る。
乗り心地良好。馬車に乗ったお姫様気分。見た目は男みたいだけどね。
街は砂埃が激しく、サングラスなしでは少しキツイ。
「1dollar」に名前を聞いた。「LALA」というらしい。
英語は独特で聞き取り辛いが、全く通じないよりはマシかな、と思った。
あっという間にアンコールワットのチケット売り場に着いた。
5時を待って、チケットを買う。
その場で写真を撮り、すぐに顔写真入りパス・チケットが完成した。
やった!嬉しい!!!!
ちなみにチケットは、3日間で40ドル。(たけぇー!)
またトゥクトゥクに乗り、チケットのチェックポイントをなんなく通過。
(うわ、本当に今日も入場できるんだ!)
この夕暮れ時、アンコール遺跡群の中、向かうところはひとつしかありません。
目指すは、プノン・バケンのサンセット。
ぅおおおおおテンション上がってきたぁぁぁああああ!!!
「ここだよ」
LALAがそう言って、はっとした。
ごろごろと、遺跡が転がっている場所。
人がたくさんいる。
民族音楽の演奏も行われていた。
ゾウ!ゾウも歩いてるぞ!!!
そこには、山道があった。
そうだ、山登るんだ!!!!!
念願の、遺跡探検の始まりだ。
気持ちを抑えられず、LALAのことはほっぽって山を登りだした。
早足になる、早足になる!
山道はずっと続いた。
途中、素晴らしいものを発見。
古代カンボジア、当時の人たちがプノン・バケンへ行く道をして使っていたのだろう、山の頂上まで伸びる階段だ。
かなり崩れていて分かりづらいし、立ち入り禁止となっているが…
独特の雰囲気があった。
道を行く他の人々は、あんまり気に止めないようだが。
頂上への期待が高まった。
あぁ、早く、早く着かないかな!!!
息を切らして、やっと頂上に到着した。
大きな、大きな遺跡が広がっていた。
綺麗すぎた。くやしいほどに。
興奮していろんな所に登ったり、触ったりしながら、最高のアングルを探した。
プノン・バケンは、サンセットで有名な場所だ。
サンセットの時間は、もうすぐだった。
人が増えてきて、慌てて場所を確保して座り込んだ。
じぃっと 日が沈むのを待った。
感傷に浸るには、充分すぎるほどの時間だった。
それでも、綺麗だった。 と、私は言いたい。
あいにく、雲が多かったその日は、パンフレットの写真のようなサンセットは見られなかった。
周りにいたたくさんの人が、少し残念そうに、早々と諦めて帰っていった。
結局、プノン・バケンの遺跡の上に、その日最後までいたのは私だった。
もう真っ暗だった。
それでも、なかなか腰が上がらなかった。
取り憑かれたのかと思うほどだった。
警備員に注意され、やっとのことで帰路についた。
その後は、LALAにおいしいレストランに連れて行ってもらった。
(カンボジア・ダンスのショーが見れた!)
そしてこの後、予想だにしなかったトラブルが起こる…
チェンラーに帰るはずのトゥクトゥクは、どんどん人気の無い道に入っていく。
あれ?これって、まずいんじゃない…?
ベトナム2日目のトラブルが頭をよぎる。
しかしそれ以上に、1年前アンコールワット近辺でレイプされて殺された日本人女性の事件が頭をよぎった。
ぞっ
やばいやばいと思ってるうちに、やっぱり人気の無い川べりのベンチの前で降ろされた。
外灯なし。真っ暗闇。
LALAさん…勘弁してください。
腕を引っつかまれて無理矢理ベンチに座らされる。
あーやばい、この雰囲気は、やばいって。
「この近くにホテルがあるんだけど…」
ちょっと、何言ってんだ!
きわめて毅然とした態度で、「No,No,」と断り続けた。
こっちはベンチの端に座ってんのに、じりじり近寄ってくる。
くそ、離れろ。
ふいに、抱きつかれて耳にキスしてきた。
ぞわわ~~~~~~~っ
一瞬にして死ぬことを考えた。
ここでレイプされるくらいなら死んだほうがマシだ。
命<プライド。
絶対、プライド、優先。
幸い目の前に川がある、いざとなったらあそこに飛び込めば、あるいは生き延びれるかも…いやいや私カナヅチなんだよ無理だ。第一カメラ!大事なカメラが水没したら嫌だ。いやいや何言ってんだ、カメラよりは命だろ、いやでもやっぱ無理だ、腕捕まれてるもんな、さすがに力では勝てないだろ。じゃぁあれか、舌噛み切るしかないか、どの辺噛めばよかったっけ!?っていうか、 ベタベタ触ってんじゃねぇーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
つかまれていた腕を、力いっっぱい振り上げた。
そして立ち上がった。
ベラベラと英語で、勝手に口が話し出した。
その時自分が何を喋ったのか、今でも思い出せない。
ただ、こんなに英語喋れたんだ…って感心するほど、よく喋った。
きっと、嫌悪感と防衛本能がそうさせたんだろう。
その気迫にLALAも呆気にとられたのか、しぶしぶトゥクトゥクに戻った。
選択肢としては、このLALAの後ろに乗らずに、その場でさよならすることもできた。
しかしもう、一緒だと思った。
こいつの後ろに乗るのも、この暗闇をひとりで歩いて帰るのも、危険度としてはそう変わらないように思えた。
どうする?わたし、
この旅が始まってもう7日目。
なんとなく、いろいろと分かってきたところだった。
人を簡単に信じてはいけない。
自分の人を見る目を、信じろ。
自分が選んだその人に、その瞬間に、賭けてみろ。
わたしは、LALAに任せた。
たぶんこの人は、ただプレイボーイなだけだ。
嫌がってる奴を無理矢理どうこうってのは、たぶんナシな奴だ。
わたしが、そう言っていた。
信じたとおり、LALAはしっかりチェンラーGHに戻ってくれた。
良かった、大丈夫だ。
「明日からは、よろしく頼むよ?」
そう言って握手して、明日の集合時間を決めてさよならした。
部屋に戻ったら、緊張の糸がぷっつり切れた。
恐怖が今更、襲ってきた。
がくがく震えてしまって、ベッドに寝転ぶことしかできなかった。
あー… いいな この危険感 おもしろいじゃん … 女一人旅っぽい……
そんなことを考えながら、そのままの状態で眠りについて、悪夢を見た。
(2008/02/14 23:34) in Siem Reap/Cambodia
05:Vietnam - Cambodia
今日はついに、ついに!国境を越える日!!!!!
めざせカンボジアーーーーッ!!!
朝6時半、質素な朝食のあとに荷物をまとめて出発。
ベトナム側国境の村"チャウドック"、さようなら。
クーロン河まで歩いた。
わくわくしてたまらない!
どうやら船に乗るらしい。
しかもなんと…2人しか乗れない、現地民の手漕ぎ船、しかも木製!!!
進むたびにギシギシなる~水面ギリギリ~~ひゃっほぅ
この河でも、たくさんの人や犬が生活をしていた。
少し肌寒い朝の風が心地よかった。
船はどんどんどんどん、ジャングルの方へ進んでいく…
とある岸で、手作りの細長い桟橋を見つけた。
やばい…冒険のニオイがぷんぷんするぞ!!!
小船は、期待通り、その桟橋前でストップ。
せかせかと桟橋によじ登った。
うっは~~~~~~~~~!!!!!
そこは、少数民族"チャム族"の村だった。
民族衣装を纏った人々のリアルな生活。
テレビを見てるんじゃないぞ、ウルルンじゃないんだぞっと、何度も自分に言った。
子どもたちに囲まれながら村を探検して回った。
すっごい気のいい人達ばっかりだ。
あたし、ここに住みたい!
と思ったのもつかの間、船は出発する様子。
もう!? やだ!!!!
一瞬、船に乗らないことも考えたけど…
う~ん…いやいや……やっぱカンボジアは行っとかないとな!さらばチャム族!
思い出にと、手作りネックレスを買って、それを首からさげて、桟橋を走ってまた小船に飛び乗った。
船はしばらくすると止まった。
そこには大きめのモーターボートがあった。
ギシギシいう船とはおさらばのようだ。
しかしこれ、どうやって移るの?
え?飛び移れって!?
まさかぁ~~ … えぃやっ!!!
…無茶さすなぁ…ほんと!^^
このボートで約2時間走るらしい。
ヒマじゃん!!!
私以外の乗組員は、5人。全員ちょー自由。
私も自由にさせてもらった。
屋根に上ったり、i-pod聞きながら踊ったり、写真撮ったり、日記書いたり。
それからとある村に上陸。
犬がめっちゃ放し飼いになってる民家のようなレストランで軽いランチを食べた。
食べ終わったら手荷物検査&出国審査…
いよいよ、本日最大のイベント、"国境越え"が目前に…!!!
審査パスしてまた船へ…
あ!船変わってる!
この船がヤバイのなんのって。
窓ガラス割れまくりで銃弾の跡らしきもんいっぱいだし、
中はゴミ散らかりまくりだし、
あげく座席がぶっ壊れてなぎ倒しになってたり、^^;
おもろそーじゃん!!!
乗り込み方もまた、なんでか崖から飛び移る方式で、
白人の女の人が一人河に落ちました。 ドボン!て、船めっちゃ揺れたし^^
これまた2時間くらい進む。
振動でお尻がピリピリかゆくなってきた。
どんだけオンボロなんだこの船!!!
途中から空気イスしたりしてがんばった…
それからまた岸に上陸して、
今度は入国審査。
なんかドキドキ…
パスポートチェックのおじちゃんがめっちゃいい人で、癒された。
お喋りしてるうちに、簡単にパス。
パスポートを受け取り、ちょっと歩くと………あった!!!!!!
赤と白のしましまのバー。
あれが国境だ…!!!
内心、踊りながら国境のバーをハードルよろしく飛び越えたかったが、
警備員の手前、そんなテンションは内に秘め、凛とした態度でバーを越えました。
あ…
越えた…
わぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!
人生初・歩いて国境を越える!!
ドキドキバクバクでした。
わりとあっさりでしたけど!
カンボジアの陸地。
どこもかしこも未舗装。
赤土、土煙!常夏!!!
その後はミニワゴンに押し込められ、悪路を1時間半進んだ。
ワゴンはビックリするほど揺れて、何度も天井に頭を打ち付けたし、舌を噛みそうになった。
アゴを掻こうを思って伸ばした指が目に突き刺さった時は、横にいた白人のにーちゃんに笑われて恥ずかしかった。
そして、カンボジアの首都プノンペンに到着!!!!!!
ツアーはこれにて解散!!!
みなさんまたいつの日か会いましょう!!!
さーて、どうしよっかな。
ん、明日どーしよ、プノンペン満喫する?
いやいや、やっぱり一刻も早く、アンコール・ワット見たいでしょ!!!
そっこーでキャピトルツアーのデスクに向かった。
「明日の朝!アンコールワットの街"シェムリアップ"へ向かうバスに乗りたいんです!」
なんなくバスチケットをゲットして意気揚々とプノンペンの街に繰り出した。
この時点で時刻は17時。うっすら暗くなりはじめていた。
思い出した。
プノンペンといえば…日本人女性レイプ事件が一番多い街だ!
暗くなってからの一人歩きはご法度。て、ガイドブックに書いてある。
しかしほんとに…、ただ歩いてるだけでいろんな男の人が声をかけてくる。
最初のうちは「ハロー」とか言ってたたけど、中にはしつこく付いてくる奴もいたので無視することにした。
これは…早いとこ宿見つけないとな。
てきとーにぶらついて、明日のバスの出発地点に近い"Nice G.H"に入ってみた。
この街は、ゲストハウス内でのレイプ事件も多発しているらしいので、チェックインの前に部屋を見せてもらうことにした。
よし、鍵は2個ある、だいじょうぶ。
チェックインして、夕ご飯を求めてまた街をぶらつき、
ゲストハウス内にて、日本語入力可能なPCを見つけ、mixiに日記を書いた。
(2008/02/16 20:45) in Phnompenh/Cambodia
03:Vietnam -水上マーケット
AM7:45 SHIN CAFF前集合。
今日から2泊3日のメコンデルタ+カンボジア国境越えツアーである。
朝のSHIN CAFF前は大混雑だ。
通る隙間もないほどだくさんの外国人がいて、その間を縫うように売り子たちが歩き回っている。
頭にフルーツを乗せた少女がしつこく声をかけてきた。新聞売りの少年も、サングラス売りの青年も。
バスは何台もあって、どれに乗ればいいのか少し分かり辛い。
誘導員らしき人が、ダンボールに行き先を書いてバスにガムテープで貼り付けているのを頼りに、乗車した。
バスは8:00発の予定だったが、20分に出発。
最初の目的地は、およそ100km先にある"カイベー"という村だ。
バスから見るベトナムの風景にも大分慣れてきた。
もう大抵のことでは驚かない。
しばらくしてカイベーに到着。
バスを降り、村の中を歩く。
ホーチミンとは違う、"南国"としてのベトナムの姿がそこにあった。
赤土の道、土埃を上げて走るバイク、熱帯の植物、放し飼いの犬や鶏…
歩いているだけでウキウキする。
とある川岸に辿り付き、どうやらここからボートに乗るようだった。
屋根つきの、割としっかりとしたボートだった。
ボートは岸を離れぐんぐん進む。
両岸には高床式の水上住居が立ち並んでいる。
かつてタイでみた景色を思い出していた。(あれは確か、チャオプラヤ川だった)
ガイドの人が、一生懸命説明をしているがよく理解できない。
なんとなく、河の説明をしているんだとは思う。
あーあ、やっぱりもっとちゃんと英語の勉強しとくんだった。
ずいぶん進むと、辺りに船が一隻、二隻と増えてきた。
みるみる船の数が増えてくる。
"カイベー水上マーケット"到着である。
たくさんの人達の生活が、この河の上にあった。
それらは"船"と呼ぶよりも、"モーター付きの走る家"と呼んだ方がしっくりくるような気がした。
洗濯物を干していたり、料理をしていたり、子ども達が犬と戯れたりしている。
しかしやはり、本質は"マーケット"である。
たくさんの商船…もとい、"店"があった。
パイナップルを山積みにしたパイナップル船、他にもスイカ船、マンゴー船、キャベツ船…
バインミーをその場で作ってくれる船もあった。
他の観光客たちと同様に、熱心に写真を撮っていたら、とある船が私たちのツアー船に船体を合わせてきた。
船と船がぶつかり、ゴツンという音と共に水しぶきが舞う。
何だ何だと皆がざわついていると、ぶつかってきた船に乗っている男が声を上げた。
「水やジュースはいかが!?コーラもあるよ!!」
なるほど、"ドリンク船"である。
ツアー船から歓声が上がった。
そうだ、これが、水上マーケットなんだ!!
そのまましばらくボートはマーケット内を走り、やがてまた、とある村に上陸した。
ガイドに付いて歩いていくと、民家の中に入っていく…
と思いきや、そこは"ココナツキャンディー工場"だった。
まぁ"工場"というと堅苦しい感じだが、実際は私服のおねぇさんたちがお喋りしながら、時にはフルーツやお茶を嗜みながら、楽しそうに作っている。
おねぇさんたちがキャンディーをくれたので、食べてみた。
キャンディーというより、キャラメルに近い感じ。
甘くておいしい。もう一つもらった。
次いで、ライスペーパー工場、餅米工場を見学して、またボートに乗り込んだ。
ここからしばらくはジャングルクルーズ。
マングローブの樹なんかが生い茂っている。
ヤシの樹もたくさんある。
無条件で、心が明るくなる、そんな風景だ。
またしても、いかにも南国!という村に上陸した。
なんというのか、池の上に、大きなテラスのような場所がある。
ここで昼食をとるようだ。
ここで私ははっとした。
テーブルが、9人がけの円卓なのである。
すこぶるアウェーの予感…
私と同じテーブルには、イギリス人2人、フランス人2人、韓国人2人、ベトナム人2人が座った。
人見知りなジャパニーズはもくもくとご飯を食べながら、聞く側に徹した。
訛りが混ざった、個性的な英会話。しかも超早口。万年英語追試組だった私が、聞き取れるはずがない。
しかしまぁ、皆スムーズに会話が続いているわけではないようだったが。
早々に食事を済ませ、挨拶して席を離れた。
周辺の散策開始だ。
南国!南国!南国!!テンションは上がる一方。
しばらく写真を撮りながら歩いていると、声を掛けられた。
振り向くと、先ほど同じテーブルにいたベトナム人少女2人組みがいた。
2人とは年が近いこともあり、話しやすかった。
彼女達の名は"Hai"と"Mito"。
どうやらハノイから、国内旅行で来たらしい。
私は大学のことや、日本のことを喋った。
それから、今回の旅がすごく楽しいということも熱弁した。
…とはいっても、拙い私の英語力のこと、「ベトナム、スゴクイイ国アルネー」程度にしか伝わってないと思うが。
しばらくしてからガイドさんが集合をかけたので、またテラスに戻った。
どうやら現地の人達が、民族音楽を披露してくれるようだった。
歌詞の意味はよく分からないが、たぶん恋の歌。すごく素敵だと思った。
演奏が終ると、一行はまたボートに戻った。
私の席の後ろにはHaiとMitoが座った。
するとMitoが、私に赤いフルーツをくれた。
私の為にわざわざ木に登って採ってきてくれたらしい。
すごく嬉しかった。
食べ方が分からずにいると、Haiが食べ方を教えてくれた。
2人とも、本当に優しくて、明るくて、いい人たちだ。
2人とも大好きだよーて、ちゃんと伝わってるといいんだけど。
英語が分からない、伝えたいことが伝わらない、ということが、泣きたくなるくらい悔しかった。
<<中略>>
ここからはバス移動だ。
どうやら、ツアー内容により、2つのグループに分かれて別々のバスに乗るらしい。
私は自分のバスに乗った。
何故だか私はHaiとMitoも同じバスだと思い込んでいたのだが、2人は同じバスには乗ってこず、結局そのまま発車してしまった。
最後に別れを言えなかったのは残念だった。心の中で、「縁があればまたね」と言った。
20分ほど走ると、道路の真ん中で降ろされた。
なんだ?エンスト?と、タイでのエンスト事件を思い出して不安になった。
が、ガイドを先頭に一行は歩き出した。
暑い道路をしばらく歩き、着いたのは、巨大な白い檻の中。
檻の中には大きなモニターがあって、誰かのライブ映像が流れている。
たくさんのバイクや人がいて、檻の中は熱気と排気ガスでいっぱいだった。
何が何だか分からずにいると、10分くらいしてから、前方の檻の扉が開いた。
みんな一斉に飛び出していく。
目の前には大きな海…じゃなくて、大きな河が開けていて、そこには巨大な船があった。
フェリーだ。
そうか、今からフェリーで移動するのか!
白い檻は、フェリーの待合室だったんだ!
やっと事の意味を理解し、フェリーに乗り込んだ。
私たちの乗ってきたバスもすでに乗っていた。
私はハシゴを登って2階席に行った。
甲板の方へ出て、風を受けながら景色を眺めた。
ふと、日本のことを思った。
家族のこと、友達のこと。それから、今私がここにいる ということを。
今、自分がベトナムの見知らぬ河の上に浮かんでいるということが、可笑しく思えてしかたなかった。
約15分くらいで対岸に到着した。
フェリーを降りてまた暑い道路を歩く。
ここの道路はひどく汚れていた。ハエもたかっている。尿の臭いもした。
そして何故だかとうもろこしの皮が山ほどポイ捨てされていた。
小さなバス停で自分達のバスを待つことになった。
しかし、バスは一向に姿を見せない。
他のツアー客たちが文句を言い出した。
それもそのはず、暑すぎるし、待たせすぎである。私も隣に友達がいたなら絶対文句言っていただろう。
暇を持て余したのであろう白人女性が、私に話しかけてきた。
彼女は夫と2人でオーストラリアから旅行に来たのだと言う。
夫さんは、その隣で水を飲んでは汗を拭き、汗を拭いては水を飲み…を繰り返していた。
本当に暑いですねーみたいなことを喋っていると、やっとバスが来た。
私は席に着いて、クーラーの風を全て自分に向けた。
防犯と宗教的なことを考え、長袖長ズボンにブーツというコーディネィトにしてきたのを少しばかり後悔した。
それから30分くらいして、"カントー"という街に到着した。
今日はここで1泊するみたいだ。
ホテルに到着して、チェックイン。
部屋に荷物を置いて、水道で洗濯を済ませてからホテルを出た。
地図を持たずに適当にぶらつき、市場やなんかを見てまわった。
この街はさほどホーチミンと変わらない気がした。
しかし、屋台などはあまり見当たらず、夕食を食べる場所に困った。
PM7:00、結局デパートのファストフードレストランで夕食を済ませた。
日本でいう、ダイエーとかの1階にあるような店だ。
あまり美味しくないし、風情もなかったが、まぁこういうのもたまにはいいか と思い、帰りにお菓子とジュースを買ってホテルに戻った。
ホテルのシャワーが、じょうろみたいな水圧の上、冷水しか出ず、イライラした。
そんな時、今日がバレンタインデーであるということに気付き、何だか少し複雑な気分になった。
(2008/02/14 23:34) in Can Tho/Vietnam




























