闇金ウシジマくん
小学館
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緻密かつ写実的なモノクロ画で、卓上やキャラクターの表情など細部に至る描写が力強く迫る
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暗部の描写や暴力シーンでも冷静に構成され、リアリティと緊張感が常に共存するタッチ
東京の裏社会で「トゴ」(10日で50%!!絶対に借りちゃダメな奴!!)という暴利を容赦なく課すカウカウファイナンス社長・丑嶋馨。
彼が待つは、法にも希望にも見放された人々――弱肉強食の社会ドラマが、ここから幕を開けます
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作者:真鍋昌平
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出版社/掲載誌:小学館/『ビッグコミックスピリッツ』にて2004年〜2019年まで不定期連載
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巻数:全46巻(完結)
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ジャンル:青年漫画・経済・犯罪・社会派・バイオレンス
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ドラマ・映画化:テレビドラマ(2010–16年)、映画シリーズも制作され話題に
あらすじ
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主人公丑嶋は元ヤクザの若き闇金社長。返済能力がない者に暴利を貸し付け、返済できない者には厳しい取り立てを行う
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各巻では「奴隷くん」「バイトくん」「若い女くん」「闇金狩りくん」など章ごとに異なる登場人物のケースが描かれ社会問題や人間の業を浮き彫りにする構成
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平成後半から令和初期にいたる社会の構造変化、貧困や依存、裏社会との結びつきを背景に展開され、まるで現代日本を映す鏡のように描き上げています
印象的なシーン
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「奴隷くん編」では、パチンコ依存の主婦たちが丑嶋の会社に通い詰める様子が象徴的に描かれます
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「洋基くん」編や「ヤクザくん編」では、闇金業を取り巻く暴力の渦と組織抗争がより苛烈に描写され、逃げ場のない時代の闇を照らします
ここが刺さる
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個人の弱さと社会構造の衝突:債務者一人ひとりの悲鳴と丑嶋の掟が対比的に描かれます・・
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毎話ごとの完結型連作構成:読みやすく、でも深く重いテーマが次々と示される
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描かれるのはグレーの世界:善悪だけでは割り切れないリアルな人物描写と展開
こんな人におすすめ
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日本社会の光と闇をリアルに切り取った社会派マンガが読みたい方
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カイジ系とは異なる、人間ドラマと経済の暗部を社会描写として楽しみたい読者
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ドラマや映画にも興味があるが、原作で徹底的に知りたい方
『闇金ウシジマくん』はエンタメ以上に、日本という社会を丸ごと描いた大河ドラマとも言える傑作です。
そこでは人間の弱さも強さも、誰も救われない冷徹な現実も、赤裸々に抉り出されていきます。
社会の奥底を静かに見つめたい方、迷わず第1巻から手に取ってほしい一作です。
とりあえず お金は安易に借りちゃダメ!!