《PROJECT80》19
★「岸和田城」
596-0073岸和田市岸城町9-1/072-431-3251
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/454569
重森三玲(1896~1975)は,日本の昭和期における代表的な庭園研究家及び作庭家であり,彼は生涯において約370に及ぶ歴史的庭園の実測図を作成し,200近くもの創作庭園を残した。その中でも,昭和28年(1953)に岸和田市の依頼に基づき岸和田城本丸跡に設計・作庭したのが岸和田城庭園(★八陣の庭)である。庭園の平面構成は中世の城郭縄張図を参考として考案されたもので,諸葛孔明の「八陣法」を主題とし,複雑な形状を成す3段の基壇の上に大将を中心として方円陣の如く円形に配置された8群の石組みから成る。方円陣はもともと防御を目的としており,重森は敵を攻める陣形よりも★外敵から守る陣形を8群の石組みの意匠・構成に採り入れたのだとされる。地上を巡ることにより一群の立石の立体的な造形を観賞するのみならず,立地する本丸全体の地形を含め庭園全体を岸和田城天守閣の最上階からも俯瞰するなど,水平・垂直の方向に展開する★多様な視点から広く観賞することが意図された。抽象的な意匠・構成を重んじた重森の独創的な作庭理念を余すところ無く示しており,その芸術上の価値及び近代日本庭園史における学術上の価値は高い。
★中国の三國志で有名な諸葛孔明が作ったとされている。その陣形は、「八陣の法」(八卦の法)と言われている。地陣、鳥陣、風陣、虎陣、竜陣、天陣、蛇陣、雲陣の八つの陣。孔明が敵と戦う時、孔明は八卦の陣を組み、それを微妙に変化させて相手を撹乱、敵をせん滅した。
