H・S・Z(20)研修会2 | すくらんぶるアートヴィレッジ

すくらんぶるアートヴィレッジ

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

・・・前回の研修を受けて、さらに「造形教育」の基本について学びたいという希望もあり、さらなる研修会を設定させていただきました。「平面造形」と「立体造形」の2回ものです。

 

★「平面造形~カミサマ(紙様)のイタズラ~」~固定概念を打ち破れ!~

【準備物】・スケッチブックまた は画用紙(八つ切りorA4サイズ程度)10枚程度

・鉛筆(濃さの違うもの4~5本)、カッターナイフ(鉛筆を削ってもらいます)

・色鉛筆(クーピー可)12~24色程度、クレパス(クレヨンは×)

・ティースプーン(汚れてよいもの)

・はさみ、30cm定規、消しゴム(できるだけ大きいもの、切って使用します)

・新聞紙(日曜版チラシ含む)、タオル(汚れてよいもの)、ポケットティッシュ

《「造形遊び」って何?》/日本文教出版より

https://www.nichibun-g.co.jp/data/web-magazine/manabito/art/art035/

○名称の観点

学習指導要領上、「造形遊び」は正式名称ではありませんでした。「材料をもとにした造形遊び」「楽しい造形活動」など様々な呼び方をされていました。そのためか教科書でも「絵」「造形遊び」とは示されていません。でも、改訂で「造形遊び」は正式な名称になりました。教科書にも用語として用いられています。

○内容の観点から

図画工作科では、学習内容を「表現」と「鑑賞」の二つに分けています。そして「表現」を「造形遊び」と「絵や立体、工作に表す」に分けています。簡単に言えば、★材料や場所あるいは行為などに出会って始まるのが「造形遊び」、★明確な目的があって始まるのが「絵や立体、工作に表す」です。別の内容というわけではなく、図のように一つの内容を二つの側面からとらえるという考え方です。

○能力の観点から

「造形遊び」も「絵」も、育てようとする能力は一緒です。問われるべきは、★学習を通して「発想や構想の能力が高まったか」「創造的な技能が十全に働いたか」です。「これは造形遊びだったか、絵だったか」ではありません。★授業研究会でジャンルにこだわる議論を行うのは生産的とは言えないでしょう。

○ジャンルの観点から

一方、「これは絵」「これは彫刻」というふうに、ジャンルに分けて考えることも必要です。このとき、図画工作には、そのような一般的な言葉でうまく表せないことがあるというわけです。例えば校庭の遊具をシートで包む定番の学習活動を何と呼べばいいのでしょう。「絵」ではないし、かといって「つつむ行為から発展した何か」と言うのも変です。これを「造形遊び」と呼んでいると考えてはどうでしょうか。

○行為の観点から

そもそも、行為だけを取り出したら、大人も子どもも、造形遊びも工作も、区別はできません。例えば、「絵」の題材に「真黒にした画用紙を消しゴムで消しながら描く」という題材があります。消すという行為そのものを楽しみ、そこから新しい発見が生まれるような活動です。あるいは作家が「風景画」で、山肌の質感を表そうと無心に絵具をキャンバスに重ね、その行為から思わぬ効果が生まれているとすれば、それはまさに「造形遊び」の状態です。★行為性は「造形遊び」で最も大切な要素です。

○〔共通事項〕の観点から

このように「造形遊び」には「絵や立体、工作と共通する部分」と「絵や立体、工作と異なる部分」があります。その二重性が「造形遊び」の分かりにくさでした。でも新しい学習指導要領で、「形や色を手掛かりにイメージを膨らませて表現する」という行為的な部分は〔共通事項〕と設定されました。「造形遊び」で重視してきた内容が〔共通事項〕として小中で一貫し、広がったという言い方もできるでしょう。〔共通事項〕には「造形遊び」の二重性の解消という側面もあるのです。

○発達の観点から

教科書を眺めて「絵や立体、工作」と「造形遊び」の題材を比べてください。低学年ほど渾然としています。中学年から分かれはじめます。★高学年では、テーマ性がはっきりしてきます。中学1年生にも、★小学校との接続として「造形遊び」が想定されています。さらに中学生一人ひとりの作品の中に「造形遊び」性を探すことができるでしょう。どの教科でもそうですが、学習内容は発達に沿って分かれ、具体的になっていきます。「造形遊び」も同じです。発達に応じて、その現れ方は変化します。

○指導の観点から

低学年ほど「造形遊び」はシンプルに提案されます。例えば★「どんどん ならべて」のような定番題材では「今日はたくさんあるものを並べてみようか!」で十分でしょう。それだけで、子どもたちは次々と工夫します。でも高学年で、先生「並べてみよう!」、子どもたち「お~!」とはならないでしょう。高学年では、色、光、雰囲気、そこを通る人の気持ちなど、様々な手掛かりを与えたり、★テーマを明確にして探求的に進めたりすることが考えられます。

○評価の観点から

「造形遊び」では、★プロセスで働く資質や能力が重要です。例えば、子どもたちは、大きな黒い画用紙に絵具を垂らしながら「きれい」や「いい感じ」を★見つけています。そして、もっとそれを「きれい」に「いい感じ」にしようと★挑戦します。それは大人的に言うと「補色の組み合わせ」「バランスの追求」などの試みです。また、子どもたちは、★自分の手の動きや変化する様そのものが大事で、それ自体を飽きもせず繰り返します。それは★「行為そのものへの没入」で、そこから★「発見」が生まれたりします。先生はこれらの姿を肯定的に評価し、「子どもが感じてはいるけど、★言葉にはできない部分を言葉にする」「活動の★面白さを認め、後押しする」、時には「止めたり、★複数の提案をしたりする」などの指導につなげるとよいでしょう。

 

・・・特に注目すべきは、「行為」そのものを重視する点です。

・・・丸まった大きな紙(クラフト紙)をのばしながら「折りたたむ」、かなり「難しい」作業ですが、だからこそ「集中」して取り組まざるを得ません。次に「新聞紙」との出会い、その紙質と色合いを「ハンバーガーショップ帽子(キャップ)」の折紙をしながら味わいます。作業は個人ですが、全員が帽子をかぶることで視覚的な「連帯感」を生み出します。もう1枚同じものを折って、こちらは「ゴミ箱」にします。同じものでも「用途」をかえるという「工夫」が大切です。そして、カッターナイフで鉛筆を「けずる」ことで、刃物の角度や両手を使うことの大切さを確認します。

・・・鉛筆による表現、特に「消す」を「描く」に転換する。色鉛筆やクレパスなども重ねて、描きこむ。型紙を用いたり多様な表現を加えて、最後まで楽しく描き切っていく。

・・・今回は「平面造形」ですが、ちょっとした工夫で「立体造形」へと進化していきます。「チラシ・スティック(チラシを丸めたもの)」をつないだり、丸めたり。

・・・さらに「さんすくみ」による「セパタクロー」など、次回「立体造形」への予告をして第一日を終了しました。