・・・ホップステップ造形教室「点線面」で隈研吾さんが書かれた、「★トビゲラの幼虫は、小さな点のような身近な素材を集めて巣を作る。この虫をまねて、身体のような建築を作れないだろうか。」について、この機会にいろいろ調べてみました。
《京都府内のトビケラ》
http://www.pref.kyoto.jp/hokanken/suisei_tobikera.html
トビケラは、幼虫の期間を水中で過ごし、成虫になると水中から飛びたちます。チョウやガに近い生き物で、幼虫はイモムシのような形、成虫はガのような形をしています。河川、特にきれいな河川では、色々な種類のトビケラの幼虫が暮らしています。
《トビケラ専科》
http://tobikera.eco.coocan.jp/index.htm
トビケラ目は昆虫の中では★7番目に多くの種が知られるグループで、中生代の初期三畳紀(約2億年前)に、チョウ目(チョウやガ)との共通の祖先から分かれ、幼虫が水中生活に適応したと考えられています。成虫は蛾に似ていますが、翅(はね)には隣粉ではなく短い毛が密生していて、これが旧和名「毛翅目」や学名「tricos: 毛、pteron: 翅」の由来となっています。現在までに世界で16,000種以上、日本から550種以上が記録されていますが、★毎年のように新種が発見・公表される状況で、研究が進めば日本産だけで1,000種近くになると思います。
《参考》毛翅目幼虫ヒゲナガカワトビケラの淡水系接着タンパク質/日本化学会誌1988
水系で水溶性のタンパク質が不溶化し接着する現象は海水、淡水、あるいは生体内で多様に観察される。実用的な接着という観点に立つと、イガイ、フジツボ、カキ、アコヤガイなど海の軟体動物 の産出する、いわゆる海洋接着タンパク質が船の運行効率を低下させるなど経済的損失を防ぐ目的、あるいは整形外科、歯科の立場から接着タソパク質を★骨の接合などに積極的に利用しようという目的で興味をもたれ、著者らもこの海洋接着系について若干の高分子化学的な知見を発表してきた。内陸の淡水中にもユニークな接着作用により生態系を維持しているものがあり、水系におけるタンパク質不溶の興味深い対象と考えられる◎毛翅目(TrichoPtera)幼虫は流水中で糸を吐き、岩、小石、砂粒、葉片などと接着し、造網、筒巣を作成する。毛翅臼幼虫の種は多岐にわたり、その作成する筒巣も多様であるが、水中巣の巧みさと解剖により★絹糸腺を摘出するさいの容易さゆえに、ヒゲナガカワトビケラの幼虫(俗称★ザザ虫)の採集、アミノ酸分析、絹糸腺中のタンパク質の接着強度などについての知見を報告する。接着強度については家蚕フィプロインの結果と比較し、既報の接着性タンパク質のデータを含めて考察する。
《絹糸腺》日本大百科全書(ニッポニカ)より
鱗翅(りんし)目、トビケラ目、膜翅(まくし)目などの昆虫の幼虫がもつ器官。下唇腺(かしんせん)が変化したもので、繭や巣をつづるため糸を出す。これはほかの昆虫で本来の唾腺(だせん)であるものと相同であり、細長い1対の管からなり、消化管の両側から下方に位置し、前端は合一して下唇前端の吐糸口(としこう)に開き、後方では何度も折れ曲がるのが普通である。長いものは伸ばすと体長の7倍に達し、カイコの場合は約4倍あり、3部分が区別され、中部は糸の外層をつくるセリシンsericinを、後部はフィブロインfibroinを分泌する。この両物質ともタンパク質で、後者は管内ではフィブロイノゲンfibroinogenの状態であって、前部の細い管を通過して引き伸ばされると変化し、吐糸口から出ると固まる。分泌部は1層の大きな分泌細胞からなり、各細胞は分枝した大きな核をもつ。なお、前部にある付属腺は2本の糸を接着し、硬くさせる液を分泌すると考えられている。絹糸腺のほかに、シロアリモドキの前肢(ぜんし)にある跗節(ふせつ)腺、甲虫類のガムシの雌にある生殖器付属腺、一部の甲虫や脈翅類のマルピーギ管、チャバネゴキブリの若い幼虫の尾角などからも絹糸が出されることが知られている。
《ざざ虫》Wikiより
長野県伊那市など天竜川上流域(岡谷市川岸から駒ヶ根市の間に限定される)で、清流に住むカワゲラ、トビケラ等の水生昆虫の幼虫を食用とする★(昆虫食)時の総称。主に佃煮や揚げ物などにして食する。もともと天竜川産の食用の水生昆虫の呼称であるが、食用とする同種の水生昆虫の呼称として用いられる場合もある。「ざーざー」した所にいる虫、あるいは浅瀬(ざざ)にいる虫というのが語源と言われている。ほかに、福島県でもかつては「ザームシ」「ザザムシ」と呼び食用にする習慣があったとされる。
http://www1.inacatv.ne.jp/~tenryugawa-gyokyo/association.html
漁期は冬で、12月から2月までの3か月に設定されている。ざざむしを取ることを、地元では「ざざ虫踏み」と呼ぶ。天竜川上流漁業協同組合では入漁料を払って「虫踏み許可証」の取得が必要となる。漁業として取る場合には、胸まである胴長をはき、足の裏にはかんじきを付けて川の中に入り、四つ手という、十字に組んだ竹に網をつけた漁具を使って漁獲するのが伝統となっている。四つ手を川下側の水中に据え、鍬で上流側の石を裏返し、かんじきで踏み動かしてざざむしを水中に流し、網の中に捕集する。藻などのごみも網に入るので、網の付いた選別器に入れて、ざざむしだけが下に落ちるようにして分離する。個人的な漁では、石の裏にいるざざむしを直接ピンセットで捕獲することも行われている。四手網には様々な種類の水生生物が入ることになるが、網目の大きさより小さな種や選別作業によりゴミなど食用としない物は取り除かれる。ざざむしは高級珍味とされている。伊那市では、佃煮に調理したもの(ざざむしの佃煮)が名物郷土料理となっている。ほかに、油で素揚げにし、塩を振るなどして食べることも行われる。長野県などでは土産物として販売されている地域もある。
https://web.archive.org/web/20161029042813/http://www.valley.ne.jp/~zaza/mokuji.htm
《かねまん》
399-4511長野県上伊那郡南箕輪村神子柴8865-1/0265-72-2224
http://www.nagano-bussan.com/member/029.html
★2011年5月31日(火)閉店/伊那谷名物の蜂の子やざざ虫、イナゴのつくだ煮を製造販売する老舗土産物店「かねまん」(上伊那郡南箕輪村神子柴)が2011年5月末で閉店することが分かった。1916(大正5)年創業で、ざざ虫などのつくだ煮を扱う店としては上伊那地方で最も古い。同業者や取引先からは惜しむ声が上がっている。
★世界に誇る昆虫食「ざざ虫」は天竜川が育んだ「おいしい」食文化
https://www.inadanikankou.jp/special/page/id=1333
《NEWS》「ざざ虫」食べる習慣、長野でも伊那地方だけ高級珍味、老漁師が守る/2014.4.15日本経済新聞より
牧田さんがこの研究に取り組みはじめたのは1990年代に市の商工観光課(現商工観光部)に配属されたのがきっかけ。メディアなどからざざ虫についての問い合わせが多かったが、職員の誰もよく知らず答えられなかった。自分で調べ始め、面白さから第一人者になってしまった。牧田さんの仮説では、上伊那地方に残ったのは、1916(大正5)年創業の「かねまん」(南箕輪村、2011年に閉店)という土産物店の存在が大きい。かねまんは漁師からざざ虫を仕入れ、昭和30年代には東京の料亭にも売り始めた。一時は米国に輸出する話もあったという。牧田さんの調査では、長野県内で梓川や犀川などの流域(いずれも信濃川水系)でもかつてざざ虫を食べる習慣があったが、すでに数十年前に廃れている。上伊那地方では漁師からざざ虫を買い取る元締的な存在としてかねまんがあったため、ざざ虫が産業として持続したというわけだ。ただ先行きにはかなり不安材料がある。「今年は最悪だった。あまりにも取れないので途中でやめてしまった」。箕輪町の自営業で、長年ざざ虫漁を続けている小森一男さん(72)は話す。天竜川漁協は最近の詳しい漁獲量を公表していないが、1987年には16トン程度あったというざざ虫の漁獲高は近年、年間数百キログラムと大幅に落ち込んでいるもよう。漁協は2006年の豪雨災害後に国土交通省が河川改修に着手している影響が大きいと指摘する。後継者不足も問題だ。高齢化が進んでおり、中心は70代。「若い人が好むような作業ではなく、後継者に教えようという動きが見えない」(天竜川漁協)しかし、牧田さんは先行きに希望も持っている。地域文化が見直されており、グルメ漫画「美味しんぼ」では美食家の海原雄山がざざ虫を食べている(79巻)。「そんなに簡単に伝統は途絶えないはず」と牧田さんは地域の底力を信じている。
・・・さてさて、京都府相楽郡精華町「けいはんな記念公園」で開催実施する《ムシムシ工作大集合》の準備をしました。ワークショップで「虫づくり」楽しんでいただく参考としての展示です。
《けいはんな記念公園》
619-0238京都府相楽郡精華町精華台6-1/0774-93-1200
★おもちゃ箱がひっくりかえった!ムシムシ工作大集合
https://keihanna-park.net/event/musikousakusyugou2021/
この世にいるムシ、いないムシ、造形作家のおもちゃ箱からムシムシ工作が大集合!身近なリサイクル素材から虫たちを創り出す、「作る楽しみ」「遊ぶ楽しみ」をご一緒に。週末ワークショップも開催します。※ムシムシ写真展は8/5~先行開催。