・・・途中、ジャコメッティ「鼻」を樹脂粘土で作って、端材の分身作品に吊り下げたりしたものだから、本作にも粘土造形を付け加えたいという衝動が、
・・・ボンドで盛り上げた雨部分にも少し色を重ね、本の「スピン」とリンクさせる。
《スピン》
本の背表紙の上部に直接糊付けされるか、または背表紙か花ぎれと背の間で接着される、しおりとして使用する平織りのひものことをさす。栞紐(しおりひも)、リボンともいう。栞紐を「スピン」と呼ぶのは日本独自の表現で、英語では一般にブックマーク(bookmark)、ブックマーカー(bookmarker)と呼ばれる。
・・・さらに晴耕雨読の「落款」を。しかし「朱色」が強すぎたので、和紙を張り重ねて試行錯誤。
・・・落款は、消しゴムハンコ製です。
《落款(らっかん)》
落成款識(らくせいかんし)の略語で、書画を作成した際に製作時や記名、識語(揮毫の場所、状況、動機など)、詩文などを書き付けたもの、またその行為を言う。その文を款記といい、その時捺す印章を落款印と言う。慣習上、署名として押捺された印影、または署名に代えて押捺した印影をさすことも多い。署名用の印そのものを落款と称することもある。
・・・最終的に、銀色部分の構成要素として「トタン」を用い、「磁石」を埋め込んで着脱できるプレートにサインを入れることにした。これらの「試行錯誤」と「衝動」が、もはや羅針盤を失った小舟のように漂流を始めてしまった。さて、どこまで流されどこに辿り着くのだろうか?