・・・主題派大作展のテーマが「和」ということで、どの作品にするか検討しましたが、やっぱり「Fuji」しかないという結論です。すでに作品としての体裁は整えてありますが、修正を加えつつ完成度を高めていきたいと思います。
・・・作品「Fuji」は、もともと茶室の「風呂先屏風」をいめーじして制作したものなので、高さを低くしています。その点で、大作展には不向きなのですが、背景的な作品を構成することで新しく生まれ変わらせたいと考えています。
《風炉先屏風》栄匠堂より
お茶室で使われる二つ折りの屏風のことをさします。「風炉先(ふろさき)」と略して呼ばれることが多いのですが、正確には「風炉先屏風」と言います。室町時代(1336~1573年)から台子(だいす)と共にお茶の席で使用されていたと伝えられています。風炉先には茶席の「道具畳(どうぐだたみ)」の向こうに立てて風炉や道具を★保護する役割の他、「点前座(てまえざ)」(亭主が茶を点てる際に座る場所)を★引き立て、茶室全体に緊張感を与える役割もあります。主に四畳半以上の広間で使用されるため、小間の席では使われない場合も多いのですが、道具畳が襖や障子で囲まれている部屋では使用されることもあります。また、「風炉先窓」や★「色紙窓(しきしまど)」が設置されている茶室では風炉先は使用されません。
利休形では横・三尺五分(約92㎝)、高さ・二尺四寸(約72.8㎝)、縁・五分(約1.5㎝)。縁は黒塗りで鳥の子紙の白張りを基本としています。現在では、元伯宗旦(げんぱくそうたん)好である、高さ・一尺八寸(約54.5㎝)の風炉先が一般的になっています。
風炉先屏風は縁(ふち)、地、縁(へり)、腰で構成されています。縁は木製で、生地のままの場合もあれば塗りが施される場合もあります。地の部分に張られた紙は無地の他、字や絵などの装飾が描かれることもあります。屏風の下部分を腰と呼び、板がはめ込まれたり、板に透かし彫りが施される場合があります。腰だけの屏風もあり、これは「腰風炉先」と呼ばれます。★「片落とし」と呼ばれる客側を斜めに切っている屏風もあります。
風炉先屏風と似た働きをする道具に★「結界(けっかい)」があります。「座頂(ざちょう)」「座障(ざしょう)」とも呼ばれ、広間と小間を区切ったり、客座と点前座を分けたりするもので、風炉先とは設置する場所が異なります。板や竹で代用されることもあります。
《色紙窓》
窓の形状による名称のひとつで、ふたつの窓を中心軸をずらして上下に配置した窓のことです。色紙窓は、窓を配置した姿が★色紙ちらしの張りつけに似ていることからこの名があります。色紙窓は、通常は、上を連子窓、下を下地窓にして、片引きの障子をつけます。色紙窓は、古田織部が★「座敷の景」として考案したと伝えられます。『古田織部正殿聞書』に「数寄屋之窓多く明る心得之事、何れも明り可取との事也、色紙窓明りの為斗に非す、座敷之景に成故也、心に可有也」とあります。
・・・以前、「屏風」は「衝立」から発展したものであることを書きましたが、今回の制作においては「風呂先屏風」をイメージしつつ「衝立」風に仕立てています。いろいろ調査して、「屏風祭り」があることを知りましたので紹介しておきます。
《「城下町村上町屋の屏風まつり」》
毎年9月15日~10月15日/新潟県村上市・旧町人町一帯/村上町屋商人(あきんど)会
https://www.sake3.com/byoubu-matsuri/
★新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年の「第20回 城下町村上 町屋の屏風まつり」を中止します。
長い歴史と伝統を誇る村上大祭(国指定重要無形民俗文化財・毎年7月日 本祭り)。かつては祭りの★室礼(しつらい)として屏風を立てたため、「屏風まつり」とも呼ばれていました。しかし、時代は移り変わり、今では村上大祭に屏風を立てる家も大変少なくなっています。平成13(2001)年にスタートした「城下町村上町屋の屏風まつり」は今ではあまり立てられなくなった、各家に伝わる貴重な屏風の数々を披露する催しです。会場となるのは、旧町人町と呼ばれる一帯の町屋や商店など。普段なかなか入ることができない、村上の町屋内部に入ることができ各家が大切にしてきた屏風をはじめ、貴重な品々を見学することができます。村上が誇る、伝統的工芸品★村上木彫堆朱をはじめ民具や玩具など、その家が代々収集してきた品々もご覧いただけます。村上のまちが、さながら美術館や博物館のようになる一カ月、まち歩きや住人との触れ合いも楽しみながら、豊かな初秋のひとときをお過ごしください。
・・・祭りの「動」と「静」、いい感じです。
★村上木彫堆朱
https://www.city.murakami.lg.jp/soshiki/128/tsuishukaikan.html
https://tsuishukumiai.jp/prof/
新潟県の村上地方は、平安時代から天然の漆の生産地として、広く知られています。村上木彫堆朱は、15世紀の初めに、京都の漆器職人が中国の堆朱を真似て、木彫の上に漆を塗る技法として始め、その技法が村上地方で寺院を建てたときに伝えられたものです。最初に寺院を建てた宮大工が技術を覚え、江戸時代になるとその技術は武士の間にも伝わり、そして町民の間に広まって今日に至りました。
・・・素晴らしい、でも高価なんでしょうね。




